β-understand8 ページ8
「お前…」
それから数時間して、Aが帰ってきた。
血にまみれた身体を見て、何をしてきたのかが、すぐ理解できた。
そしてAの手に持っている物を見るとそれはインスタント珈琲。
かなりの量が入っているようだった。
「これ、買いに行こうとして」
「あぁ」
「それで途中で視界が赤く染まったの」
瞳の近くに指を伸ばすAはどこか魂が抜けたようだった。
「気がついたら空腹感はなくて、生暖かい血の感覚だけだった」
ひたりと滴る血液はまだ新しいのか、鮮やかに床に広がる。
「とにかくシャワー浴びてこいよ
気持ち悪いだろ」
「そうね、ありがとう」
ゴトン、と袋を下ろし、シャワーを浴びに行った。あいつの中で何が、どんな感情が渦巻いているのだろう。
後悔か、自己嫌悪か、はたまた罪悪感か。
負の感情に潰されてしまいそうなら、俺を頼ればいい。怖いなら俺の側に居ればいい。行く宛がないなら、俺の所に戻ってこればいい。
独り危うく進むな、壊れてしまう。
センチメンタルな言葉ばかりが脳を駆ける。恥ずかしげもなく考えられる事にはもう慣れた。
ただ、それだけあいつの存在が大きいのだと、そう思う。
もう少しで沈みそうな太陽に照らされ、目を細める。
あいつが見た赤い視界はきっと、もっと黒々としていただろう。
床に残る血の香りに、冷めた思いが沸いた。
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なっちゃん - すごく…すごく切なくて苦しかったけど、面白かったです…ありきたりなハッピーエンドじゃなくて泣きそうになったけどそこが良かった…この作品を作ってくれて、そしてちゃんと完結まで持っていってくれてありがとうございました…(;-;)この作品に出会えて良かったです (2021年10月8日 14時) (レス) id: ac8e88b096 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜舞(プロフ) - 更新遅れてしまい申し訳ありません(>_<)温かいコメント本当にありがとうございます!ちまちまですが更新再開する予定です! (2017年1月29日 22時) (レス) id: 1c3ca1ac8c (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 面白かったです。更新応援してます( ^ω^ ) (2017年1月21日 17時) (レス) id: 94c136b52e (このIDを非表示/違反報告)
ももニャン(プロフ) - 更新まってます! (2016年9月3日 22時) (レス) id: 4645770aff (このIDを非表示/違反報告)
K・M - このあとの展開が気になる!更新頑張ってください。 (2015年9月26日 22時) (レス) id: 6b3a0c3161 (このIDを非表示/違反報告)
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