もし...僕達があの時信頼していたら【オリオンの刻印】

103話 心壊 ページ10

瑞希side









瑞希｢やろっか…｣




そう言ってボクは目を閉じる。




瑞希｢〜〜♪｣




そして歌いながらドリブルをする。周りに水色の蝶が飛び始める。相手がボクの前に立ち、止めようとするが…




瑞希｢『Butterfly(不死蝶)』｣




舞い…空を飛んで躱す…



蝶達が僕の背中に集まる…


僕の背中には羽が生える…




水色で透き通った…不死蝶の羽…


僕は自由……

誰にも縛られない…


踊っているといつの間にかゴールの前にたどり着く




瑞希｢っ…！｣





胸が痛い…。苦しい…全てを吐き出したい…。





瑞希｢我慢して飲み込む……感情を飲み込む…｣




そして僕はゴールに目を向き、シュートの体制に入る。




瑞希｢みんなを…ここにいる人全てを驚かせる技…｣




それはこれしかない…。

思い出せ…あの人の動き全てを…。




瑞希｢『ラストリゾート』…！｣




全ての動きを思い出し…完璧に真似して繰り出した技は本人のよりも何倍も強かった…。




瑞希｢………｣




ボールは当たり前のようにゴールに入り、会場全てがピシャリと静かになる。




瑞希｢(止めて…僕を見るな…壊れる…心が…全て…)｣




わぁぁ…！となる歓声…。唖然とする選手。見たくなかった風景…。





心が壊れそう…


抑えよう


どうやって？

分からない…


なら壊れちゃえ

舞桜と心虹舞桜にまた迷惑かかる


今だけ壊れちゃえばいいじゃん。楽になるよ？

……そうだね………今だけ壊れちゃっていいよね…



最後に自分を嘲笑するように笑い僕は倒れる。






頬に伝う水の感覚が冷たくて…塩っぱかった…。









.









.









次に目が覚めた時…僕はこの試合の間だけ感情と声というものを忘れた



それを否定するように溢れてくる涙には気づかない

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