もし...僕達があの時信頼していたら【オリオンの刻印】

114話 絵本『人柱アリス』 ページ21

瑞希side









夜。みんなは寝る時間だ…でも僕は眠れない。食堂で外を眺める。





別にお腹が空いたわけじゃない。まず食欲が無い。何故なら五感が壊れ始めてるから。



まず最初に壊れたのは味覚だった。何を食べても味が無かった。



それならなんでここに来たのか…。それはここの方が部屋より眺めが好きだから。




もうすぐ見られなくなるから…。




瑞希｢眠れないし…絵本を描こう｣



そう言って僕はスケッチブックを取り出し、机に置く。



瑞希｢一番目アリス…灰崎は勇ましく


剣を片手に不思議の国


いろんなものを斬り捨てて


真っ赤な道を敷いてきた


そんなアリスは森の奥


罪人のように閉じ込められて


森にできた道以外に


彼の生を知る術は無し｣




そう言いながら僕は一番目アリスのストーリーをスケッチに描く。




瑞希｢二番目アリス…明日人は大人しく


歌を歌って不思議の国


色んな音を溢れさせて


狂った世界を生み出した


そんなアリスは薔薇の花


イカれた男に撃ち殺されて


真っ赤な花を一輪咲かせ


皆に愛でられ枯れてゆく｣




次に二番目アリス。




瑞希｢三番目アリス…野坂は幼い子


綺麗な姿で不思議の国


いろんな人を惑わせて、おかしな国を造りあげた


そんなアリスは、国の皇帝


歪な夢に取り憑かれて


朽ちゆく身体に怯えながら


国の頂点を君臨してる｣




その次に三番目アリス。




瑞希｢森の小道を辿ったり


薔薇の木の下でお茶会


お城からの招待状は？



──────ハートのトランプ



四番目アリス…充と光は兄弟の子


好奇心から不思議の国


色んな扉をくぐり抜けて


ついさっきやってきたばかり


気の強い兄と賢い弟


一番アリスに近かったけど──────


二人の夢は醒めないまま


不思議の国をさ迷った｣




そして最後のアリス達を描いて絵本の完成。




瑞希｢ふぁ…眠くなったし…寝ようかな…？｣



──────本日のお話はこれでおしまい。

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