レッド・ホット・チリ・ペッパー その3 ページ6
左小指をへし折られたことを認識するのに時間は要らない。
「ああぁっ!?ぎゃぁぁああぁぁっ!!」
音石明が悲鳴を上げる。
「ルールはいらねーかい!そいつはどーもよォォーッ!行くぞッ!コラァーッ!」
仗助がそう怒鳴った。
兄さんは音石明を睨む。
「時間がねえなら簡単な予告をしてやる音石明!お前はこの虹村形兆と東方仗助に敗北する!」
「なんてことしやがるんだ!この野郎ォ!おれの大切な小指がァーッ!折れちまったああああーッ!」
折れた小指を見て音石明は絶叫に等しい大声を出す。
「小指1本で俺たちに何かすると予告していたな」
「さあ、どうするよ?音石の先輩よぉ〜」
「ブチ殺すーッ!」
兄さんと仗助を睨みつけたが、彼らも勿論ガンを飛ばす。
「それはさっきも聞いた」
「何度も言うなこのボケッ!」
音石明がぶるぶると肩を震わせ、ギターを手に持つ。
折れた小指を無理矢理動かして、元の方向へと戻して弦に指を這わせて重低音を鳴らした。
ライトハンド奏法、またはタッピング奏法。
ギターおよびエレクトリックベースの奏法の1つで、指板上の弦を指で叩き付けて押弦したり横に弾いたりして音を出す・・・・・・。
が、ここで彼は余計なことをした。自身の怒りを表現したが故に。
”テメエラノ カゾクモ コロシテヤルゥ”
うっとりと幸せそうに音石は言う。
「表現できたぜ・・・・・・おれのハートを!究極の怒りを!・・・・・・表現できたぜェ。万雷の拍手をおくれ、世の中のボケども」
「やってみろッ!音石ィアアア!」
仗助が音石明に突っ込んで行く。
クレイジー・ダイヤモンドがラッシュを放つ。音石明と反対の位置に、だ。
「えッ!?」
仗助が慌て、兄さんの表情もこわばった。
「本体が俺の後ろに!?」
仗助は何をされたか分かっていないようだが、兄さんは何が起こったのか理解したらしい。こわばった表情が消える。
「落ち着け仗助。お前は動かされただけだ」
「はあ!?どうやって!」
「A、そこから”全部”見えていたな。仗助に教えてやれ」
『・・・・・・レッチリが排水口から出てきて、クレイジー・ダイヤモンドの向きを180度変えた』
私が教えると、仗助は冷や汗を流す。
『仗助、貴方がコンテナの方向ではなく海の方向を向いているでしょう』
「A出てきたのは上半身だけか?」
兄さんがバット・カンパニーを出して問う。
『う、うん。上半身だけ地面に開いている排水口の穴から出てきたよ』
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妹者 - 凄く面白いです!お話の続きが気になります。更新頑張って下さい! (2018年8月18日 23時) (レス) id: 2e9f8a8485 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫歳花(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!凄く面白くて楽しかったです。これからも頑張ってください!!! (2018年4月5日 3時) (レス) id: ae43b29bb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シマエナガ | 作成日時:2017年8月26日 16時