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2.彼に近づく ページ2

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「佐久早くん」



部活へ行く前の短い時間を狙って、彼に近づく。




「はい?」



いつも通りの仏頂面…とは言っても顔の半分はマスクで覆われていて
下半分の様子はうかがえないけれど
機嫌が良さそうでもなかった表情が更に曇るのは分かった。
声色もとても面倒くさそうな、鬱陶しそうな。
そんなのすべてが予想範囲内であって、傷ついたり凹んだりなんてする事もない。
彼に近づくにはどうすればいいかずっと考えていた。




「佐久早くんのことが好きです。付き合ってください」
「はぁ?ごめん、無理」



断られるのも想定内だった。



「だったら、友達でも、なんでもいいから、もっと話がしてみたい」
「いや、無理なんだけど。なんなの、あんた」



早歩きをしながら体育館へ逃げようとする彼の腕を私はつかもうとした。



「汚い手で触るなよ」
「汚くないよ、さっき手洗ったばっかりだし」
「そういう問題じゃないんだよ」



彼はあきれた様子で深くため息をついた。




「こういうの迷惑だからやめろ。これ以上付きまとうと先生にチクるからな」
「…じゃあ、友達じゃなくて、都合のいい女でもいいよ」
「いやだから…あんた言葉の意味わかる?頭悪いの?」
「うん…まあ、あんまり良くはないかな」
「…話にならない」




佐久早くんはもう振り返らずに、体育館へ入りドアをぴしゃりと閉めた。
なんでもいい、彼に近づきたかった。
彼を好きになった時から、覚悟は決めていた。

3.最初の出会い→←1.貴方が好き



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(プロフ) - フェロカさん» はじめまして、コメントありがとうございます!こちらこそ読んでいただいてありがとうございました。楽しんでもらえたならよかったです。これからも更新頑張ります! (2020年1月19日 21時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
フェロカ(プロフ) - 初めまして、佐久早聖臣の小説を作ってくださってありがとうございます。とても最高でした。これからも楽しみにしてます。 (2020年1月18日 23時) (レス) id: e2914cfac7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» コメントありがとうございます!純粋な感じではないのに素敵と言っていただけて嬉しいです。佐久早くん良いですよね!読んでくれてありがとうございました! (2020年1月14日 9時) (レス) id: d956429f3f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - りんねむさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです! (2020年1月14日 9時) (レス) id: d956429f3f (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - ひえ……この決して純愛でも綺麗でもない恋愛の感じ…新鮮で好きですエモいです…。佐久早聖臣の小説少なすぎるので供給ありがたいです〜!とっても面白かったです!素敵な作品ありがとうございました…! (2020年1月13日 2時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年12月16日 22時

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