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15.やっぱり好きな人 ページ15

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自分から無理やり近づいて、自分から別れを告げた。
思えば最初から、無理があった関係だったんだ。
都合のいい女になんて、なれるわけない。
だって私は佐久早くんのことが好きなんだから。
そのままの関係で、満足できるはずがなかった。



佐久早くんが助けてくれた猫は、大きく元気になった。
今でも私の大切な家族だ。
この子を見ていると、佐久早くんのことを思い出してしまう。
優しい佐久早くんのことを。




“返事しろ”




佐久早くんからラインが入っていたけど、ずっと既読スルー。
まあ、学校で会っちゃうかもしれないけどね。
私なんかと知り合いだなんて思われたくないだろうし
話しかけてきたり…しないよね。




「使うようになったんだ?」



休み時間。
手荒れを治すためにハンドクリームを塗っていると
古森くんが私を覗き込んだ。




「うん、さすがに、痛くなってきたからね」
「そっか、もう…いいの?」



古森くんにはなんにも話していないけれど。
もういいの?って、佐久早くんのことだよね。




「もういいって言うか…」





古森くんに、「もういいの?」って聞かれて少し考えてしまった。
良くなんて…ない。私は佐久早くんのことが、まだ…。





「おい。A。ちょっと来いよ」




突然現れた佐久早くんに驚いた。
古森くんも驚いている。
っていうか、私の名前、知ってたんだね。
いつものむかつく命令口調なのに
名前を呼ばれたことが嬉しくて…。
都合のいい女が、彼女に昇格することがないなんてわかっていたはずなのに。
こうやって人前で私の名前を呼んでくれたことがこんなに嬉しいなんて
私ってとことん、都合のいい女なんだなぁって思った。




「佐久早って女の子にあんな態度とるんだなぁ、意外」




Aが佐久早に連れられて、教室を出て行く。
古森は物珍しそうに二人の後ろ姿を見つめていた。

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(プロフ) - フェロカさん» はじめまして、コメントありがとうございます!こちらこそ読んでいただいてありがとうございました。楽しんでもらえたならよかったです。これからも更新頑張ります! (2020年1月19日 21時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
フェロカ(プロフ) - 初めまして、佐久早聖臣の小説を作ってくださってありがとうございます。とても最高でした。これからも楽しみにしてます。 (2020年1月18日 23時) (レス) id: e2914cfac7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» コメントありがとうございます!純粋な感じではないのに素敵と言っていただけて嬉しいです。佐久早くん良いですよね!読んでくれてありがとうございました! (2020年1月14日 9時) (レス) id: d956429f3f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - りんねむさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです! (2020年1月14日 9時) (レス) id: d956429f3f (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - ひえ……この決して純愛でも綺麗でもない恋愛の感じ…新鮮で好きですエモいです…。佐久早聖臣の小説少なすぎるので供給ありがたいです〜!とっても面白かったです!素敵な作品ありがとうございました…! (2020年1月13日 2時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年12月16日 22時

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