第26話 説得 ページ28
「…原田君、確かに君はAくんを好いていた。けど私たちにとっては
よき友、武士だ」
「武士、それがよき友なら私たちはそのよき友の道を理解し
その別れを受け止め、自分の道を進むよ」
考えてみれば、この新選組も綺麗ごとを並べている
そして、この中でもいつ誰が死ぬか、羅刹となるか分からない
それが今日から三日前のことで、羅刹となり死んだのがAだっただけの話
「源さん・・・あんたは新選組のために死ねるか?」
「…私の命で人が一人守れるなら、それで近藤さんやトシさんの夢に
近づけるなら私はそれで本望だよ」
この短い間で何度この人に何度助け船を出してもらえたのか
「そ、うか…」
「けど…私は自分のすいている者との子供の未来を自分が奪うことに
なることを覚悟で死ぬというのは、できそうにないよ。
自分の子供は守りたいからね、けどそれでも死ぬというAくんは
本物の武士だよ。それはそれは美しい…ね」
それから源さんは「トシさん…やっぱり渡した方がいいと思うのだが…」
と、目線を俺から土方さんに替え、何かを説得してくれる
「・・・あぁ、原田が生きるというなら渡してやるよ」
俺が生きると言ったら…?
「なぁ左之、お前だけが責任感じる必要はねぇんじゃねぇの?
お前は自分の意志でAを守るため殺したんだろ
自分でもわかってるんだろ、自分らしくねぇって」
「ハァ…土方さん、左之さんは僕みたいに未熟じゃない」
総司は自分を近藤さんのいる前で未熟と言ってまで土方さんに何かを
説得しようとしてくれる
「わかったよ、原田…これがお前の子供だよ」
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それは瓶に入った白い塊、魚のような…
でも確かにそれは人だった
「…あ・・・あぁ・・・」
自分でもありえないほど弱弱しい声が出てきた
そんな俺の姿を見ても、近藤さんは明るいことを言う
「…君は、確かに二人の命を奪った。それと同時に未来を奪った。
けど、未来を託され、命を託された」
「そうと考えることはできないか」
近藤さんは俺の目線に近づき、真実を言いながらまた綺麗ごとを言った
けど、託されたことには変わりなかった
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kirakirahikaru0(プロフ) - 涙がとまりません!!素敵な作品でした。 (2019年7月6日 22時) (レス) id: 094bc50104 (このIDを非表示/違反報告)
彩楓(プロフ) - 涙が止まりません!!このお話に出会えて本当に良かったです!これからも頑張ってください! (2016年10月11日 16時) (レス) id: e14b6601c7 (このIDを非表示/違反報告)
風峰蒼(プロフ) - LOVEさん» うわぁ...もう本当にありがとうございます!感謝の言葉でいっぱいです! (2015年9月27日 7時) (レス) id: dc78d8f89d (このIDを非表示/違反報告)
LOVE - 原田さんは頑張った!だから自分の道を生きてほしい!……………な、な、涙が止まりそうにありません!((涙 これからも頑張ってください! (2015年9月27日 3時) (レス) id: 111dfe4918 (このIDを非表示/違反報告)
風峰蒼(プロフ) - キユさん» ありがとうございます!まさか、こんなに泣いてくださる方がいるなんて驚きました!ありがとうございます! (2015年6月20日 21時) (レス) id: dc78d8f89d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬風青 | 作成日時:2014年12月22日 20時