槍使いの嫁の物語

第１９話　いざ参るっ ページ21

「私は、もう人間じゃ、ないんだっ化物だ」







「も、う切れるっ、だから、その前に」







左之助の腕をはらい、土方の方へフラフラと向かう






「私を殺せぇっ」









一歩一歩近づくにつれ、永倉も近藤も、斎藤も幹部が刀に手を伸ばした








「そうだっ、そうだよ。そのまま一斉に」









「斬りかかるんだ」









妙に冷めた声で言う








「A・・・俺の血をいくらでも飲んでいい」








「ふふっ」









「だから・・・もう、狂わないでくれっ苦しめないでくれっ」








「・・・原田ぁ！！槍を持てぇ…！！副長命令だ！！」



「土方さん・・・」






「総司や平助には悪いが、俺達で片付けさせてもらうぜ」





ｶﾁｬｯ









「こいつに攻撃する間を与えるな、いくぞ」









「どりゃあぁっ！！」









永倉が力強く刀を振るうが









「やめてくれっ！！」









それは左之の槍によってはじかれた








「左之、お前気持ちはわかるけどよ。Aはもう」









「だから俺がやるんだ」






原田は永倉に向けていた槍をAに向ける





いつでも心臓を貫ける位置で









「・・・原田君がそう決めたんだ。俺たちはそれを後押しし、支えるんだ」





近藤は真っ直ぐな目で原田だけを見つめた







あの真っ直ぐな目で






「原田君、俺たちがA君の意識を君から外す。そのうちに君がやるんだ」








「トシ、それでいいだろう。お前だけが背負うことはない
原田君も、何も悔やまずにはいられない。けどそれが皆ならばどうだろう」








「Aくんの意志を皆でつなぐことはできないのかね」







そういい、鞘から刀を抜ききった







そして、皆の返事を待たずして一歩を踏み出す






「新選組局長！！・・・いや、違うな」






「近藤勇！！いざ参る！！」






「ははっ、近藤さんらしな、左之」



「あぁ・・・あの人だから俺はついてきたんだ」








「永倉君、我々も参戦しよう。原田君はいつでもおいで」








その源さんの優しさ、強さに背中をまた押される






「左之、俺たちがお前が攻めやすいようにしてやる」









拳を合わせ、笑顔を見せる

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