槍使いの嫁の物語

第１７話　一緒なら ページ19

「A…っ」




原田はAを引きはがそうとすればできる




いくら傷を負っているとはいえ、男と女の力の差は大きい





「離れてくれ…っ、俺ははがせねぇ」









惚れているやつには嫌われたくない









そいつと一緒ならいい






そんな単純な考えは、人斬り集団新撰組といったて同じだ





「左之さん…？血がほしいよぉっ」






ずっと小桜は左之助の首筋に顔を近づけている








左之助もやはり離そうとしない







そればかりか頭を押さえつけ、離れないようにしている







「A・・・お前と一緒に死んじまえてぇよ」





そう独り言のように話す







「なぁ、土方さん。俺もこいつも殺してくれ」



「・・・くそっ」








「左之…なんでだよっさっきまで、Aと向き合ってたじゃねぇか」




永倉は心を許すことのできる仲間が弱ってる姿を見て
少し驚いたように目を見開いていた





「・・・っ、殺してくれよ」








最後のつぶやきは一番近くにいるAにしか聞こえなかった

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