【あんスタ短編集】夕焼けの偶像【Valkyrie】 (ページ12)

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愛してる（２）ページ12

「なにがお、おかしいのかね？全く何を言い出すかと思えば…」

フリルを落としてしまったのだよっ、と慌てた様子でフリルを拾う先輩。

「ふふっ、ごめんなさい。…ところで、私まだ先輩から返事来てないんですけど…？」

わざと悪戯っぽく先輩をじっと見つめる。
先輩は観念したように、私のほうを向いた。大げさな咳払いをひとつして口を開いく。

「僕も愛してるよ、A。」そういった先輩の顔は真っ赤だ。

「はい、合格です！そろそろ帰りましょう？」

全く、何の茶番劇だったのかね…ぶつぶつと先輩が言っていたけど気にしない。悪戯心が発端だったけれど、先輩から愛してると愛の言葉をもらえたのだから。普段の先輩じゃ言ってくれないし。幸せいっぱいな気持ちを胸に先輩と並んで帰っていると、突然立ち止まって先輩が口を開いた。

「僕もやられっぱなしじゃないからね。次は僕から言わせてもらうよ」

今日だけで２回も言ってもらえるのかとドキドキしていると、彼はいっこうに言わない。

「あの～？先輩？言ってくれないんですか」不思議になって先輩に尋ねる。

「今とは言っていないのだよ」得意気に先輩が答えた。

ずるい！今完全に今言う流れだったじゃない！ふくれっ面で先輩を見ると、

「僕が作ったドレスを着るとき、その時が来たらね」そう言ってまた先輩は歩き出した。

ド、ドレス…？それって…！！

そんなの反則過ぎる…！！

「先輩どういう意味で言ったんですか～～！！！」

夕日の中、勝ち誇ったような先輩を追いかけて私は走り出した。