【あんスタ短編集】夕焼けの偶像【Valkyrie】 (ページ11)

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愛してる（１）斎宮宗ページ11

ある日の放課後、私は手芸部に遊びに来ていた。

そこには手芸部の部長であり、私の恋人である斎宮先輩だけが残っていた。

「あれ、ほかのみんなはいないんですね？」

「今日はみんな都合がつかなかったみたいでね。まあ、何か制作締め切りがあるわけでもないしね、かまわないのだよ。」そう言いながら先輩は服を黙々と作っている。

ふうん、と私は先輩の隣に腰かけて彼の様子を眺めていた。

生地とフリルと針を器用に、まるで踊るように縫い付けていく様子は流石だ。私は裁縫をしている時のいきいきしている先輩の綺麗な横顔を見るのが好きだった。

「A、君はいつもそうしているが楽しいのかね？」裁縫を続けながら先輩が私に尋ねた。「私にとってこの時間は先輩と過ごせるチャンスですから。私はこの時間がなによりも好きです。」

そ、そうかね、そう呟いた先輩のほうを見ると耳が赤くなっているのが見えた。

その様子を見て、少しいたずら心が芽生えた私は彼に続ける。

「先輩、愛してます。」

まるで今日の天気は何か聞くように、挨拶をするように彼に伝える。

すると彼は驚いた様子でこちらを見た。

「な、何を言い出すかと思えば、いきなりなんだね？」

その顔は鳩が豆鉄砲食らったような顔でおかしくて思わず吹き出してしまった。