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私が電話して数分。

万次郎とドラケンが家まで来た。

「珍しいな。Aから声掛けてくるとか」

私は肩を竦めながら2人とメールで送られてきた場所まで向かう。

「もしかしたら、私一人じゃ危ないかもしれなくて」

「危ない?そんな場所行こうとしてんの?」

万次郎はやや怪訝そうな顔をする。

私はカバンからどら焼きを出して万次郎に渡す。

「それあげるから着いてきてお願い」

そう言うと万次郎はにこにこしながらどら焼きを食べ始めた。

「Aさん、何しようとしてんだ?」

「……東卍って、渋谷三中の人いるよね?」

ドラケンにそう聞くと、彼は少し考えてから頷いた。

「名前は?」

「確か、参番隊のキヨマサだ」

キヨマサ……

その人なのかな……とにかく、何とかするって言っちゃったし無視できないんだよね。

絶対にもう不良に関わらないつもりだったのに、こんな形で関わることになるなんて。

うーんと頭を悩ませていると、ドラケンが「ついたぞ」と言う。

顔を上げると、そこにはたくさんの不良がいて、サークル状に固まっていた。

「何これ」

万次郎があまり興味無さそうにそう呟く。

「……喧嘩賭博…」

私が小さな声でそう言うと、ドラケンが「ああ」と言った。

「そういや、キヨマサが主催でんなことしてるって言ってたっけ」

「何それ、くだらねー」

円の中を見ると、中心で金髪リーゼントくんが、この間公園にいた渋谷三中の人に殴られていた。

また、一方的に。

だけど、今度の彼は何度殴られても蹴られても倒れなかった。

周りの人達は大盛り上がりで叫んでいる。

「殺せー!!キヨマサくん!!!」

やっぱり、あの人がキヨマサなんだ。

「もういいってタケミチ!!!」

「マジで死んじまうぞ!!」

そう叫んだのは敦くんとタクヤくんだった。

周りも、その異様な光景に、いつの間にか静まり返っている。

「ま…だぁ…まだだよ…」

金髪の彼はボロボロのままそう言う。

「まだまだ…こんなんじゃ…オレ…の12年……ヘタレた…心は…直らねぇんだ…よ」

何言ってるの…?12年?

「逃げて逃げて逃げて逃げて」

「もう引けよ!タケミチ。十分気合見せたよ!!」

「引けねぇんだよ!!!!引けねぇ理由が、あるんだよ!!!」

自分より強い相手に、臆することなく向かっていく姿は、あの人にそっくりだった。

「東京卍會、キヨマサ…勝つにはオレを殺すしかねーぞ」

捌→←陸



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作者名:まゆげない | 作成日時:2022年4月26日 1時

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