第91話 ページ42
私は監督の横に立つリ・ハオくんを見る。
「俺と親分はこれまで中国代表を勝利に導くために1番近くからお前らを調査していたのさ」
「子文くんの時とキャラまで変わってるし……」
私はそう呟きながら肩をすくめる。
「親分、俺たちは全力でイナズマジャパンを叩き潰しますよ」
「構いません。思う存分やっちゃって下さい。この試合はオリオン財団の息がかかっていない、本当の意味での真剣勝負です」
うっ……心が痛い…
「さあサッカーを始めましょう！そして我々中国代表があなた達を踏み台にして世界に行きますよ！」
・
私たちは日本ベンチに戻る。
そして、全員久遠さんの前に集まる。
「まぁ、病気じゃなくて良かったな」
円堂が監督の方をチラ見しながら言う。
「ったく、仮病まで使ってご苦労なこったぜ」
「なんかワクワクしてきた。監督と戦えるなんて」
「だな」
今回はスタメンじゃないし、たぶん出番はないと思う。
この中国戦は、私が出てはいけない。
脇腹の刻印が、疼いた気がした。
私はフィールドに駆けていくみんなの背中を見ながらベンチに座る。
ピーッ。
試合開始と同時に、明日人がゴール前に迫る。
でも、曲芸に似たプレーや中国の選手全員での技、万里の長城で、イナズマジャパンは翻弄させられる。
ボールに触れないんだ……
「天空隼弾！」
リ・ハオくんは高くジャンプをして、シュートを撃つ。
「風神雷神ゴースト！」
そのシュートは円堂の真上を通過し、ゴールに入った。
何、あれ………
そばで円堂の技を見てきた監督たちだから、弱点を見抜かれているんだ…
他のイナズマジャパンの皆の弱点も、特徴も、上手いこと突いてくる……
その後も「万里の長城」から「天空隼弾」の流れで、2点目を
円堂の「風神雷神ゴースト」は完全に封じられた。
「お前たち、三本の矢の話を知っているか？」
久遠さんが突然そう言い出す。
「戦国武将の毛利元就が3人の息子たちに言った…」
西蔭くんって、やっぱり勉強出来るんだ……
「1本の矢は簡単に折れるが３本束ねた矢は固く、決して折れないという教えだ」
久遠さんの言葉に私は首を傾げる。
「今で言うと、1本の矢が円堂って事ですか？」
「そうだ。西蔭、砂木沼、出番だ」
え……
「3本の矢。キーパー1人で止められないなら3人で対抗するまでだ」
「しかし、試合に出られるキーパーは1人のはずでは」
私は2人を見る。
「キーパーとして、DFになればいいんだよ」
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神崎 奏(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！めちゃめちゃうれしいです！！ (2020年4月13日 17時) (
レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白いです♪ (2020年4月13日 14時) (レス) id: b227610430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 奏 | 作成日時：2020年4月3日 18時
