第51話 ページ2
ヒロトはたぶん、私のことを気にかけてくれてるんだと思う。
優しいな……ヒロト。
「私も、一星くんを助けたいよ。確かに豪炎寺たちに手を出したことは許せないけど、多分私も一星くんと同じ状況なら、同じことをしてたもん」
微笑みながらそう言うとみんなは安心したように肩の力を抜いた。
「でも一体どうすれば……」
私がそう言うと、野坂くんが真剣な表情で行った。
「僕に考えがある」
考え………
▼
その日の夕方。
私は外に出ていく円堂にこっそりついて行った。
すると、一星くんが私服で両手をポケットに入れながら歩いてきた。
帰ってきたんだ…！
「一星！」
そんな一星くんに円堂が駆け寄っていく。
「どこへ行っていたんだ？」
「別に。買い物ですよ」
冷たく返す一星くんに私は建物のそばに身を潜めたまま眉を寄せてしまう。
「弟のところか？」
円堂の言葉に一星くんが顔を上げる。
「お前は弟のためにオリオンに従っているんだよな」
「だったらなんなんです」
一星くんはそう言って歩き出し、円堂の横を通り過ぎて行く。
「俺たち、お前の力になれないか？」
円堂が振り返って一星くんを見ながらそういう。
「力？」
一星くんは円堂に背を向けたまま聞き返した。
「ああ。弟を助ける方法、他にもあるかもしれないぞ！」
「ほっといてください。俺は俺の力で何とかします、誰の助けも要りません」
一星くんはそう言うと再び歩き出した。
円堂はそんな一星くんの背中に向かって叫んだ。
「一星！俺たちはいるぞ！俺たちはここにいる。お前が寄りかかりたくなった時、寄りかかれるように俺たちはここにいる。忘れるなよ！」
円堂………
私は一星くんの後を追いかける。
そしてスポーツセンターの前くらいで声をかけようした瞬間、一星くんが足を止めて私の方を見る。
「さっきから着いてきてなんなんですか」
「あー……バレてた？」
「なんですか？ついに【フィールドの女神】直々に俺に文句でも言いに来たんですか？それとも、弟のことがわかった途端、同情でもしに来たんですか？」
皮肉な笑みを浮かべてそう言う一星くん。
「……一星くんに、そんなふうに見られてたんだ。私」
そう言って少し笑うと、一星くんは私を睨むように真顔になる。
「ていうか、久しぶりに呼ばれたな【フィールドの女神】なんて。結構かっこいいでしょ？それ」
そう言いながら一星くんに近づいていくと、一星くんは私から遠ざかるように1歩だけ後ずさりした。
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神崎 奏(プロフ) - みかんさん» ありがとうございます！めちゃめちゃうれしいです！！ (2020年4月13日 17時) (
レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とっても面白いです♪ (2020年4月13日 14時) (レス) id: b227610430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神崎 奏 | 作成日時：2020年4月3日 18時
