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教師な俺と最短距離 ページ22

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先程までの不機嫌さは何処へやら、きゃっきゃっと赤ん坊の様に楽しそうに瞳を輝かせながら俺を見上げる長身クソ餓鬼君。そんな彼の変貌を気味悪く感じながら『この場で落としてやろうか』と考え始める俺。
だがしかし、これのお陰でコイツは俺が弱そうと言う考えは消えた筈だ。それだけは満足した。

コイツにバレない様に小さく溜め息を吐き、目的地である鏡舎がある場所を見る。鏡舎は、今現在居る棟の丁度向かい側の中庭を挟んだ棟の中。ここから如何に早く鏡舎に行けるのか考えた。
最初に考え付いたのは安全を重視し、廊下や階段を使って遠回りして向かうか。これは即却下。俺は一刻も早くコイツを寮に届けて自室に戻りたいのに、何故わかり切っているのに遠回りをしなくてはならない?


と言う事は、

こっから鏡舎に最短距離で向かうにはひとつしかないっつー訳だ。

中庭にはでけえ噴水も立派な林檎の木も細長い電灯もあるし、最悪棟もあっから、足場には問題ねえな。
まず真下の林檎の木に乗って、そっからあー行けば…何も問題ねえな。…っし、やるか。




『君』

「んぁ?なぁにセンセー?」


『しっかり掴まっててね』




え?何で?と首を傾げるコイツを抱えたまま、俺は塀に足を掛け、ひょいっとその真上に立つ。こうすると星空がよく見えるなあ、と呑気に思いながら。
ザァア…と夜風が頬を撫でるだけでなく、ビュオオオと隙間風の音も聞こえた。
何故俺が塀の上にいきなり立ったのか分からないらしく、クソ餓鬼は俺と中庭の方を交互に見遣り、そして今から何が行われるか勘付いたらしく俺の首に腕を回した。察しが良くて助かる。

それを確認した瞬間、俺はそこから躊躇なく跳び下りた。

襲われたお腹の独特な浮遊感にクソ餓鬼は怖がる様子もなく「うわははははッ!」と言う笑い声が耳に直撃しながらも真下にあった林檎の木の上にギシギシッと音を立てて着地した。途端に次は近くにある噴水の飾りの上まで跳ぶ。靴と噴水の飾りがガッとぶつかる音がしたが欠けてはいないだろうと思い、また脚をバネの様にして宙を舞い、次の足場へと跳ぶ。
跳ぶ度にクソ餓鬼は「やっっべえ!何これ!」「超楽しいじゃんッ!」等と笑顔ではしゃぐばかり。コイツの叫び声が聞けると思ったのに予想外の反応で残念だ。


…けどま、コイツ喜んでるし、
教師としてまずまずの事はしたんじゃねーの?


楽しそうに笑うコイツにつられて笑いながら、俺は無事に鏡舎がある棟へと向かった。







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ばってん(プロフ) - すっごく面白いです!一気読みしちゃいました!!😳😳 (2022年11月28日 21時) (レス) @page32 id: 33b58415e3 (このIDを非表示/違反報告)
スノードロップ - 待ってました!!更新頑張って下さい! (2020年10月19日 22時) (レス) id: ad5105468f (このIDを非表示/違反報告)
まりん(プロフ) - めっちゃ好きです続き楽しみにしてます!!!! (2020年10月16日 11時) (レス) id: c0419a06cc (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - とても面白かったです( ≧∀≦)ノフロイドの赤面は、無しだよ〜キャー!になるよ?キャー!に?(?) (2020年8月20日 1時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
- めちゃくちゃ面白いです!続き楽しみにしています!更新頑張ってください! (2020年8月19日 0時) (レス) id: 8d7c4e2f4f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月29日 1時

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