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闇の鏡と寮分け ページ6

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まあ、そんな私の想いは虚しく、さあさあ!と入学式会場へと連行された。


私は心底帰りたいのだが、少年は別に?と言った感じで感情がよく読めない。

けれど少年も、心の底では帰りたいと思っているはず。


ハァ…と溜め息を吐いた。





「あ。あのさ…まだ自己紹介してなかったよね?」

『え?ああ…確かにそうだね』

「僕はユウ。名前で呼んでくれたら嬉しいな」





そう言ってにこっと微笑む少年…ユウ。


よくよく見れば、彼は中々の美少年の類に入る程の顔面をしている。

黒髪に黒い瞳とザ・日本人カラー。
だがそこがいい。
肌は男にしてみれば白い方だろう。

睫毛も長く、男なら小柄に捉えられてしまうであろう身長も彼にぴったりだ。…断じて貶している訳ではない。



彼くらいの男子なら変装し易そうだな…。





『ユウ君、だね。私はA。宜しく』

「A…。……あのさ、Aってお」


「仲が良い事はいいのですが、寮分けがまだなのは君達だけですよ!早く闇の鏡の前へ!」


「!呼ばれちゃったね…行こうか」

『?うん』





彼が何かを言おうとする前に、学園長に呼ばれてしまった。
一緒に行こう、とユウ君が私の手を引く。



ユウ君って、手握るの好きなのかな………ハッ!


てか今めっちゃナチュラルに入学式に出ちゃってんじゃん!嵌められた!!

もう目の前になんか怪しさ満点の鏡があるんですが!手遅れなのこれ!?……ウン、手遅れなのね。寮分けだけ素直に受けて帰ろう、ウン。



はぁああ〜…と長い溜め息を吐きながら、私とユウ君は闇の鏡の前へやって来た。

すると、鏡の中で緑の炎がゴオッと萌えたかと思うと、そこから怪しげな白い仮面が現れた。





《汝らの名を告げよ》


『!!?しゃ、しゃべ…!?』

「ユウです」

『ゆ、ユウ君ってばなんてクール…。一切驚かないのね…』

「ほら、Aも」

『ハイ…Aと申します』

《ユウ…A…。汝らの魂の形は……》

「『……』」

《…………………》

「『…………』」





…ん?何この沈黙。長くね?

寮分けってそんな時間かかるの?てか魂の形とは?魂に形とかあんの?

え、それ見えんのコイツ。え、怖っ!



心の中でそう騒いでいると、ようやく鏡の中の仮面が口を開いた。





《わからぬ》





え。


あんだけ待たせて、わからんとかアリ?

え、ちょっと学園長さん。
何故にそんな驚いてんの。きっとこれただのバグでしょ。








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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時

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