第2ラウンド ページ17
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私らが起こった出来事を話し終えると、学園長は何か思い出したように「あ」と声に出す。
「そういえば、この寮には悪戯好きのゴーストが住み着き、生徒達が寄り付かなくなって無人寮になっていたのを忘れ」
『ていました、は言い訳になんないからなおいコラ。先に言って下さいっての!そのせいでこちとら面倒な目に遭ったんだから!』
「す、すみませんって!本当に忘れていたんですよ!仕方ないじゃないですか!年なんでs…ごぉほん!!しかし、ふぅむ…貴方達三人で協力してゴースト達を追い出してしまうとは」
何か問題でもあるのだろうか。
協力することはいいことじゃないか。
…少し壁が焼けてしまったけど、それはそれ。
けれどグリムはその協力と言う言葉が気に入らなかったらしい。
「協力とは聞き捨てならねーんだゾ。ソイツらはほとんど見てただけ」
『グ リ ム ? ?』
「ひ、ヒィッ!や、え、べ、別に?協力した…とも言えなくはないし?そ、それにオレ様はツナ缶が欲しくてやっただけだし?」
『全く…』
何私らは何もやってません、って言おうとしてんのかなこの黒狸は。
元々グリムが目を瞑ってたから、私らが指示を出したんでしょうが。
有り難く思えよ、全く…。
しばらく何かを考えていた学園長が、まさかのお願いを口にした。
「三人共。ゴースト退治、もう一度見せて貰えます?」
…何で?
「でもゴーストは全部追い払っちまったんだゾ!それより、ツーナー缶ー!」
「ゴースト役は私がします。私に勝てたらツナ缶を差し上げましょう。私、優しいので」
うん何処が??
てか私らの意見は?無視なの?意見さえも聞いてはくれないのこの人。
そしてこれ絶対やった後、ツナ缶こと忘れてるやつやん。私賢いから分かる。
そして、徐に取り出した謎の液体の入った小瓶を学園長が飲み干す。
あらま、何と言うことでしょう。
そこにカラス…学園長の姿はなく、代わりに学園長に超似たゴーストが現れたではありませんか。
「えぇ〜、嫌なんだゾ。めんどくせーし、またコイツらと一緒になんて…」
『!…でも、もし勝てたら入学出来るかもよ?』
「!?」
「ツナ缶ゲットチャンスですぜ、旦那」
「ぐぬ…」
ユウ君のキャラがもうわかんない。
そんな台詞言うとか想像してませんでしたわ。
旦那、て……笑うしかない。今度真似しよ。
そうしてグリムは渋々と、そのお願いを受け入れた。
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時