小さな家と違和感 ページ34
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必要なものが揃ったので、私は皆が待っているであろう鏡の間へと急いで走る。
私は足の速さには些か自信があったので、思ったよりも本当にすぐ鏡の間に到着した。
「あ、来た」
『ごめん!お待たせ!』
「お。思ったよりも速かったじゃん」
『まーね、足にはちょっとばかり自信があるんで』
「何だそれ」
変なの、と言いながら笑うエース。
そう言えばこうして彼と面と向かって話すのは、自己紹介以来じゃないか?、と思っていたらそれを見ていたスペード君が「サッサと行くぞ!」と言って、闇の鏡の前でスタンバイしていた。
そんな彼に習う様にして、私達も彼の側へ近付いた。
「闇の鏡よ!僕達をドワーフ鉱山へ導き給え!」
と、言うと闇の鏡が光を発した。
鏡って光るんだっけ?と疑問に思っている私を置いて、他のメンバーは気にせず鏡へと入って行く。
それに気付いた私も後に続く様に、鏡の中へと足を踏み入れた。
やべえ、流石魔法学校。
鏡で他の場所に転移出来んのか。凄い体験しちゃったぜ。
あれだ、あれみたい。
ドラえ◯んのどこで◯ドア。
てかユウ君、特に何の反応もせず、普通に入ってったけど、馴染むの早くないですか??
そして見知らぬ森が見え、よっこらっしょっと鏡から出た。
そこには奥の方にやや古びた小さな小屋と、薄暗い森が広がっていた。辺りを見渡すと、鉱山らしきものも見えた。
もしかすると、あの古びた小屋が昔ドワーフが住んでいた家なのかもしれない。
「ここがドワーフ鉱山…。一昔前は魔法石の採掘で栄えたらしいが…」
「うぅ…何か出そうなんだゾ…」
「あ、奥の方に家がある。話聞いてみよーぜ」
『いや、多分誰もいな』
「こんばんはー!」
『いや話聞こうね!!?』
「はは…。と、とりあえず行ってみよ?」
見るからに人気の無い小屋だった。
もし誰かが居るなら、灯りなり何なり付いているはずだ。
全く話を聞かない二人と一匹に不安しかない。
ユウ君と小屋に向かい、小屋の中を覗く。
やはりそこには人は居らず、空き家だった。オンボロ寮と雰囲気が似ている。
けれど、何処か違和感があった。
「何か机とか椅子とか全部小さくねえ?子ども用かな?いち、に……七人!多っ!」
そう、机や椅子だけでなく、ホウキの大きさ、暖炉の高さなどが全て子どもサイズなのだ。
ほわ〜、まるで小人の家……ん?あれ、私この家テレビで見た覚えがある様な…気のせい?
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時