自分で優しいって言う?普通 ページ11
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まだ何か言うのかコノヤロウ、と言う思いを込めながら学園長を睨むと、しょぼしょぼと縮こまって「スミマセン…」と呟いた。
これくらいにするか…と私は縮めた距離を元に戻し、ユウ君の隣に戻った。
「A…そこまで言わなくても…」
『バーロー、こっちは被害者なんだよ?これくらい言ってやんなきゃ分かんないよ』
「なんだろう…Aがとても頼もしく思えて来た」
『え…いや待って。だからってその目はやめて?眩し過ぎるから』
キラキラと疑う事を知らなさそうな輝く目をしながら、こちらを見るユウ君に居た堪れなくなった。
そして私の反応を気にしながらも、学園長は話を再開した。
「こ、こうなってくると…ですね?貴方方は何らかのトラブルで別の惑星…或いは異世界から招集された可能性が出て」
『そんくらい鼻っから分かってました!そうじゃなくて、私達が知りたいのはどうやったら帰れるかで!』
「A、一旦落ち着いて?学園長、話を続けて下さい」
「うぅ…ユウさん、貴方が居て本っっ当によかったです!」
『ん??なぁに??』
「ヒッ!そっそれで聞きたいのですが、ここへ来る時に持っていたものなどは?…見るからに手ぶらですけど」
そう言えば、持ってた財布もスマホもマジックアイテムもない…。
って事は…うっわ!快斗とお揃いのトランプとトランプ銃もない!?何でだよくっそぉ…泣く。
ユウ君も「そう言えば財布もスマホない」と呟いた。
そんな私達を見た学園長は、うーん…と困ったように唸る。
困ってるのはこちらなのに。
「魔法を使えない者をこの学園に置いておく訳にはいかない。しかし、保護者に連絡も着かない無一文の若者を放り出すのは教育者として非常に胸が痛みます」
『…本当に?』
「ほ、本当に決まってるじゃないですか!あ〜私、心臓まで痛んで来ましたよ!!」
「それは…大丈夫ですか?」
「言葉の綾ですユウさん!!病気ではないのでご安心を!」
絶対嘘じゃん。
ユウ君のはマジっぽいけど。
「そっそうだ!学園内に今は使われていない建物があります」
「建物…」
「昔、寮として使われていた建物なので、掃除すれば寝泊まりぐらいは出来るはずです。そこであれば、しばらく宿として貸し出して差し上げましょう!」
『ほう…?』
「その間に貴方方が元いた場所に帰れる方法を探るのです!あ〜なんて優しいんでしょう、私!」
最後の一言がなければ、な。
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時