full moon 17

802月「僕にとって特別なんだよ」 ページ11

『うん…
オーバーヒートは起こしてないね
ちょっと目も見せてね？』
藍「ん」


藍の瞳をジ…っと見る



『体に異変はない？
涙流せるなんて
博士もそんな機能つけてないって
前も言ってたし…』
藍「平気」
『ならいいけど…
博士がいないから
精密検査できないから
心配だなぁ…
ごめんね…
藍ちゃん
私…自分のことで精一杯で…』
藍「ううん
僕たちも桜の気持ち考えられなかったし
お相子
桜…」



腕を広げる藍
そんな藍の上に座り
首に手をまわし
思いっきり抱きしめる


『藍ちゃん…』
藍「最近…
色んな感情が溢れて
自分自身でも信じられなくて…
今日もそう
最後だって考えたら
ここが苦しくて
自然と涙が出た」


胸を押さえそう呟く藍


『藍ちゃん…
今日のライブ博士に見てほしかったな…
こんなに成長した藍ちゃんを
見てほしかった』
藍「別に博士はいいでしょ
茶化さないで」
『ごめんごめん
でも…
すごく嬉しいの
藍ちゃんに新しい感情が芽生えることも
私のこと…そんなに想ってくれて
すごく嬉しい』


微笑み藍の額と自分の額を合わせる


藍「そうだね
前の僕じゃ考えられないかもね
全部全部桜に教えてもらったんだよ
嬉しいも楽しいも苦しいも悲しいも悔しいも寂しいも」
『ほぼ負の感情じゃない…』



困ったように顔をしかめる桜


藍「ふふ…
少し意地悪しすぎたね
本当のことだけど」
『ちょっと？』


プク…っと頬を膨らませる桜



藍「それだけじゃないよ
だってサクラってばツキプロの皆ばっか
構うから
嫉妬するよそりゃ
それだけ桜は
僕にとって特別なんだよ」


好きだ愛しいそう伝えようかと
言葉にしかけるが
飲み込む



今はこの関係でいい
まだ未完成な自分
もっともっと人間らしく
自信ができたら
その時は伝えよう


藍「サクラ」


顔を引き寄せ
頬に唇を落とす


『？？
藍ちゃん？』
藍「僕
負けないから」
『うん？』
藍「あんまり余所見しないでよ？」
『何が？？？』
藍「・・・
鈍感サクラ」



首を傾げ呟く桜を見て
ため息をつく藍だった




END

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