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3話「家政婦とリーマン」 ページ4

寂「車や自転車には気をつけるんだよ。くれぐれも、知らない人について行ったりしないようにね」


玄関にて、高価なものであろうツヤがかった革靴を履き、まるで子供に言い聞かせるように言う。


こう見えても成人なんだけれど、先生からしてみれば可愛い子供に見えてしまうらしい。


それはそれで、先生らしいと思った。


『わかってますよ、肝に銘じています』


私が買い物に行くと言った日には必ず言われる言葉に、適当に返事をした。


寂「それならよろしい」


何が面白かったのか、先生はふふっと笑う。


どこぞのお嬢様だよ…と、心の内で悶える派の私は思ってしまった。


まぁ、それはいいとして。


『行ってらっしゃい、先生』


心の中の騒ぎを鎮め、ドアを開ける先生に声をかけた。


寂「行ってきます」


いつもと変わらない、けれど聞いて心地よくなる声が返ってくる。


先生が出ていき、ドアがカチャン…と閉まるまで見送り、再びリビングへと戻った。


さて、皿洗いに洗濯…家の中の掃除を済ませて、電車の時間に合わせて支度をしないと。


幸い買い物は先生が行ってくれるから、出掛ける時間にも余裕があるし、一郎とゆっくり話が出来そうだ。


『お世話になっているのは、私の方なのに』


先生はとても優しい人だ。それはもうすごく。


帰りに何か買って帰ろうかな、なんて思いながら家事を済ませていく。




数時間後___





『よし、準備OK』


支度が終わり、部屋の戸締りを確認。家の鍵を閉めていざ新宿駅へ。


先生の家から近く予定より早く到着した私は、切符を手に改札を通ると、お昼頃だからかいつもより人が多い。


なるべく人の少ない方に行き待っていると、すぐ横を通った男性と肩がぶつかり、その拍子に持っていた鞄を落としてしまった。


「わっ!す、すみません!」

『いえ、こちらこそすみません』


落とした鞄をすぐに拾い、手渡してくれた。


『ありがとうございます。そちらも平気ですか?』

「俺は全然、大丈夫です!本当にすみません」


見た感じサラリーマンであろう男性が、わたわたと焦りながら平謝りし、やがてぶつぶつと独り言を呟き始めた。


「あぁ……俺はいつもこうだ…何をしてもこうして誰かに迷惑をかけてしまうんだぁぁ…」

『えっと…あの、落ち着いて』


唸る男性に顔を上げるよう促すと、おずおずと顔をあげた。

4話 「家政婦とリーマン」→←2話「家政婦と医者」



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よもぎ(プロフ) - コメントありがとうございます!まだまだ話数が少ないですが、ぼちぼち更新していきますので、これからもよろしくお願いします! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 7dc175d1d8 (このIDを非表示/違反報告)
すらいみーる@元もちづき(プロフ) - 読ませて頂きました!とてもおもしろくてお気に入り&一気に全部読んでしまいました!!他のキャラとの絡みもあるということで更新楽しみに待ってます!!w (2018年9月23日 23時) (レス) id: 3b52443fef (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - ありがとうございます!先生推しです!オチはこれから他のキャラ達と出会い、親睦を深めていく…という流れで話を進める予定なので現時点ではまだ確定できていません。少しでも読者様に楽しんでいただけてとても嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願いします。 (2018年8月26日 13時) (レス) id: 7dc175d1d8 (このIDを非表示/違反報告)
- 読ませて頂きました。続きが気になりますし、主人公さんの性格がとても好きでした。オチは決まってないと言うことですが、よもぎさんは寂雷さんが好きなのですか?更新頑張って下さい。楽しみにしてます。 (2018年8月26日 2時) (レス) id: 5b4c0c9e60 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よもぎ | 作成日時:2018年8月22日 1時

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