1話「家政婦の日比谷」 ページ2
Aside
午前5時半頃
自然と目が開き、体を起こした。
ここから私の、家政婦としての1日がはじまる。
『さてと、今日の予定は…』
そばに置いていた手帳を開き、雇い主である寂雷先生と、私の予定を確認した。
…今日は午前中に一通り家事を終わらせて、日用品と新しく飾る花を買いに行こう。
素早く身支度を済ませ、おそらくまだ眠っているであろう先生の部屋の前を静かに通る。
リビングの窓を開けると、昇り始めた朝日が部屋に差し込み、暖かな光に目を細める。
冷蔵庫から昨晩仕込んで置いた食材を取り出し、ついでに残りの食材を見た。
『…豚肉と玉ねぎ……あ、卵も買わなきゃ』
食材が思っていたよりも減っていたのに気が付く。買い物用のメモに書き足し、調理に取りかかる。
先生が来るまであと1時間。
ぱっと思い浮かんだメニューを手際良く作り、盛りつける。ちなみに献立は、サラダとベーコンエッグ、ジャムとパン、その他惣菜とヨーグルト。
卵はこれで使い切ったから、今日中には買わないといけない…なんて考えながら皿を用意していると、扉の向こうから足音が聞こえてきた。
『先生、おはようございます』
扉が開いたのと同時に、先生は微笑む。
寂「おはよう、A」
まだ少し眠そうな声で言いながら、私の分もコーヒーを入れてくれる先生。
寂「いただきます」
『いただきます』
食事の用意ができ、席に座り合掌する。
食事中はテレビを付けない派の神宮寺宅。
たまに先生と会話を挟みながらゆっくりと食べられるので、私自身気が楽になれる。
先生の家でこうして働きはじめてはや1年。ここでの生活にもすっかり慣れ、外出する余裕もだいぶ持てるようになった。
……ある程度食べ終えてコーヒーを飲んでいると、先生が口を開く。
寂「そうだ…A、今日は帰りが遅くなるから、夕飯は作らなくても良いからね」
先生の言葉に『わかりました』とだけ返事をし、食器を片付け始める。
寂「理由は聞かないんだね」
黙って作業をする私を、カップ片手にじっと見つめる先生。
『……余計な詮索はしない主義ですので』
寂「君は昔から変わらないね」
ははは、と笑う先生に思わず咳払いをした。
そんな私を見て、また少し笑った。
寂「違うんだ、気遣いのできる良い子という意味だよ」
『…そうですか?』
「ああ…その分、君自身の話も聞けないけれど」
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よもぎ(プロフ) - コメントありがとうございます!まだまだ話数が少ないですが、ぼちぼち更新していきますので、これからもよろしくお願いします! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 7dc175d1d8 (このIDを非表示/違反報告)
すらいみーる@元もちづき(プロフ) - 読ませて頂きました!とてもおもしろくてお気に入り&一気に全部読んでしまいました!!他のキャラとの絡みもあるということで更新楽しみに待ってます!!w (2018年9月23日 23時) (レス) id: 3b52443fef (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - ありがとうございます!先生推しです!オチはこれから他のキャラ達と出会い、親睦を深めていく…という流れで話を進める予定なので現時点ではまだ確定できていません。少しでも読者様に楽しんでいただけてとても嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願いします。 (2018年8月26日 13時) (レス) id: 7dc175d1d8 (このIDを非表示/違反報告)
俗 - 読ませて頂きました。続きが気になりますし、主人公さんの性格がとても好きでした。オチは決まってないと言うことですが、よもぎさんは寂雷さんが好きなのですか?更新頑張って下さい。楽しみにしてます。 (2018年8月26日 2時) (レス) id: 5b4c0c9e60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎ | 作成日時:2018年8月22日 1時