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大きな存在 ページ46

むせたせいということもあるのだろうけれど、その問い掛けに対しても、俺の心臓は緊張したようにドクドクと音を立てていた。どんなことを尋ねられるのだろうかとは思っていたけれど、まさかこんなことを聞かれるだなんて思いもしなかった。一瞬心の中を覗き見られたのかと本気で疑いそうになったが、そんな訳がないだろうと冷静な自分がピシャリとそう言い放った。けれど、目の前に居る彼女は至極真剣そうに、当然茶化しているような気配なんて微塵も見せないまま、それは母親が持っているのであろう強い光を帯びた目を、俺に真っ直ぐに向けていた。その目は俺を見据えてはいるが、きっとその目の奥ではAのことを考えているのだろうということは、その目を見れば分かった。

そんな真剣で、誠実な目を目の当たりにして、誤魔化すだとか、嘘をつくだとか、そんな考えが浮かぶはずもなく。俺は覚悟を決めるように息を吸い込んで、そして確かに頷いた。


「……はい」


本当に、情けなくてどうしようもない、何の役にも立てやしない俺だけれど。それでも。


俺はAのことが好きだ。


Aの母親は俺の言葉に、ほんの少し、驚いたような……というよりは、やっぱり、というような感じで目を見開き、そして次にその目を細めた。なんだか嬉しそうに、仄かな照れを含ませたように笑った。


「そう……そうなんじゃないかなって思っていたんです。ごめんなさい、立ち入ったことを聞いてしまって」

「いえ、いいんです」


元々、何を聞かれても応えるつもりだった。正直に嘘偽りなく、向き合うつもりだった。せめて俺は、そうするべきなのではないかと。

Aの母親は続ける。Aにそっくりな、柔らかな笑みを浮かべたまま。「ありがとう」と。


「あの子のことを、そんな風に、大事に想っていてくれて……親として嬉しいわ」


そんな言葉をかけられ、俺はその言葉に対してどんな言葉を返すべきか迷う。けれど俺が何かを言うよりも前に、彼女は言った。


「…あの子にとっても、坂田さんは、大きな存在なんだと思います」


それがどんな形なのか、それは私にも分からないんですけど、と。そう言って、少し目線を下に下げた。


「でも、だからこそ、あの子は怖くなったんだと思います」

「…え?」


それは、どういう意味なのだろう。あまりに情報が不足していて、その言葉達だけでは全貌が見えては来なかった。

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ピピコ(プロフ) - 獅子の子さん» しーちゃん!いつもありがとうぅぅぅ忙しい中来てくれてありがとうねぇぇえ返事遅くてごめんんん!!シリアスシーンは私もHPをすり減らしながら書いてるからね(笑)ちょっと更新お休みするけど戻ってきたらまた頑張るので、よろしくお願いします!!! (2019年8月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピー姉さん!続編おめでとうございます!リアルが忙しくてなかなかこっちに顔を出せなかったんだけど、久しぶりに来てみたら続編まで出てて...!嬉しいの極みです(≧∀≦) ピー姉が書くシリアスシーンの緊迫感が好きだぁ...無理せずに更新ファイトじゃ! (2019年7月14日 10時) (レス) id: af0bbdf801 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 追いつめられたときのキャラを書くときは自分でもダメージを負います(笑)二人の物語が今後どの方向に向かっていくのか、見守っていてくださると嬉しいですれ応援ありがとうございます!(*^^*) (2019年7月8日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わわわっ……。もうー、これからどうなっていくのかドキドキですっ! 銀さんあんまり自分を責めないでっ。これからの展開がものすごく楽しみですっ! 応援してます! (2019年7月4日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 桜さん!ありがとうございます!!ですね!銀さんと言えば銀色です!夢主ちゃんは何色がいいかな…。私も優しい銀さんがめっちゃ好きですし繊細な夢主ちゃんと不器用ながらも接してくれるのがすごくツボです(笑)そう言って頂けるとやる気が出てきます!頑張ります! (2019年6月5日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2019年6月1日 22時

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