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ブレーキ ページ12

その声は、明らかにさっきまで楽しげに今日あった出来事を話してくれていたときの声とは違っていた。か細く、弱々しくて、まるで蝋燭の火が今にも消えてしまいそうになっているかのような、そんな危うさを感じた。俺の着物の布を掴むその手は努力してやっと力を入れているようで、ふと下を向いてみるともう限界だという風にその手は震えていて、そして、その指先は雪のように白かった。その手を見て、俺はそういえばAが数分前から静かだったことを唐突に思い出した。流れる景色でも見ているのかと思っていたけれど、俺はとんでもない勘違いをしていたらしい。一気に血の気が引いていって、理解が追い付くよりも前に俺は原チャリのブレーキを踏み前進を止めた。

その途端。俺が「どうした」と言うよりも前にAは力が抜けたように俺の後ろでぐらりと身体を傾かせ、そしてそのまま地面に向かって倒れていった。バタッという音をたててAの身体が地面に叩き付けられ、俺は目を見開いた。心臓が今日一番に高鳴った。とても嫌な感覚だった。

「A!!」と彼女の名前を叫びながら俺は原チャリから降り、彼女の頭の後ろに手をやって上半身だけ起き上がらせた。彼女の呼吸は浅く苦しそうで、顔色はさっきの面影もなかった。


──発作だ。


頭ではそう理解しても、俺は混乱状態にあった。心不全。病状であって病名ではない。心臓の動きが弱くなっている症状。以前Aから教えられたこの症状についての情報を片っ端から頭に広げていくけれど、俺はこの状況でどうすればいいのか、最も重要なそれが分からなくて焦りが募る一方だ。

それでも発作は待っていてくれない。Aは苦しそうに呼吸を繰り返していて、身体は心なしか冷たくなっているような気がする。錯覚かもしれない。錯覚であってほしい。

どうすればいいのか。このまま彼女を原チャリに乗せるわけにもいかないし、電話なんてものもない。車の通りがまだ少ないところだから突っ込まれることはないが逆に助けを呼べる状況にない。電話なんてものもない。Aの顔が苦しみに歪んでいる。目が虚ろで焦点が合わない。


「は、…はぁ……ぅ…」

「A…ッ!!」


どうすることもできなくて俺はAの手を握る。もしかしたは薬を持っているかもしれない。けれどこの状態じゃ飲むこともままならないかもしれない。指先が冷たい。人の手だとは思えないくらいに冷たい。


このままでは、彼女は死んでしまうのではないか?

そう考えたら恐ろしくて身体が震えた。


「…誰か…!!!」


俺の声が、空しくその場に響いた。

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ピピコ(プロフ) - 獅子の子さん» しーちゃん!いつもありがとうぅぅぅ忙しい中来てくれてありがとうねぇぇえ返事遅くてごめんんん!!シリアスシーンは私もHPをすり減らしながら書いてるからね(笑)ちょっと更新お休みするけど戻ってきたらまた頑張るので、よろしくお願いします!!! (2019年8月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピー姉さん!続編おめでとうございます!リアルが忙しくてなかなかこっちに顔を出せなかったんだけど、久しぶりに来てみたら続編まで出てて...!嬉しいの極みです(≧∀≦) ピー姉が書くシリアスシーンの緊迫感が好きだぁ...無理せずに更新ファイトじゃ! (2019年7月14日 10時) (レス) id: af0bbdf801 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 追いつめられたときのキャラを書くときは自分でもダメージを負います(笑)二人の物語が今後どの方向に向かっていくのか、見守っていてくださると嬉しいですれ応援ありがとうございます!(*^^*) (2019年7月8日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わわわっ……。もうー、これからどうなっていくのかドキドキですっ! 銀さんあんまり自分を責めないでっ。これからの展開がものすごく楽しみですっ! 応援してます! (2019年7月4日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 桜さん!ありがとうございます!!ですね!銀さんと言えば銀色です!夢主ちゃんは何色がいいかな…。私も優しい銀さんがめっちゃ好きですし繊細な夢主ちゃんと不器用ながらも接してくれるのがすごくツボです(笑)そう言って頂けるとやる気が出てきます!頑張ります! (2019年6月5日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2019年6月1日 22時

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