diving deeper ページ5
「うおおおおおおーーーー！！」
「おおおおーーーーー・・・・・あ？」
何の衝撃もなく収まった落下。
怖くて瞑っていた目を恐る恐る開ける。
「え？」
そこはベッドの上で。
左右に目をやるとなんだか懐かしい壁。
「あ・・！」
そうだ。
昔住んでたマンションの壁だ。
起き上がって周りを見れば。
間違いない。
ここは俺が暮らしてた部屋。
カレンダーは2021年1月。
ってことは忘れもしない活動休止直後。
毎日AMNOSの夢を見てた頃だ。
バカヤロージジイ。
俺をここに戻してやり直せと？
地獄で反省よりは良かったけどさ。
そんなに間違ってたのかよ、俺の人生。
それじゃ妻子に失礼だろ。
それに。
この時代に戻されても俺たちは活動休止中。
会おうとするなら約束ってやつが必要だ。
しかもコロナ禍。
気軽に飲みに行こうなんて誘えない。
だから会えなくて。
会える時にもっと会っておけばよかったと
後悔ばかりの日々。
いや、確かに後悔はした。
だが俺が逃げてたんだ。
色んな現実から目を逸らしたくて・・・。
雅紀はこの時すでに結婚の意思を固めてた。
俺も散々周りにせっつかれてた結婚を
自棄になった勢いで決めちまってた。
だって。
何年考えたって告白なんてできなかったから。
同性でメンバー。
家族のような、親友のような、深い深い絆。
その繋がりは一生壊したくねぇもん。
「♪〜」
ん？携帯電話の着信音。
音の鳴る方を見れば見覚えのあるフォルム。
そうだよ、
こいつでAMNOSの写真を沢山撮った。
だから使わなくなっても宝物にしてたんだ。
この世界はなんなんだ？
マジであの頃に戻ったってこと？
「もしもし・・？」
「もしもし翔さん？
夜分遅くにすみません。
佐久間です。」
「あー・・。」
佐久間って、
確か当時のマネージャーくん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わか
| 作成日時：2022年9月30日 9時
