deep insaide ページ29
「なあ、どうした？
おまえこの間から変だよな？
何があったんだよ。」
消える前に俺に何か出来ることはないのか？
哀しそうにしてる雅紀を置いて行けないだろ。
「なんでもないよ。
たださ、
少し離れたから尚更感じるんだよね。
おれはしょーちゃんが大好きなんだな、って。」
それはわかる。
この頃の俺も
離れて尚更メンバーの良さを実感して
毎日恋しくなってたけどさ。
「誤魔化すなよ。
おまえぜってー何かあるだろ。」
確信できる。
雅紀の様子がおかしい。
「俺には頼れないのかもしれないけどさ。
放っておけないだろ。
踏み込んじゃいけないとは思うよ。
だが俺は何とかしてやりたい。」
魂が消える前に
この頃の俺が気付けなかった問題を
何とか解決してやりたい。
いや、解決できないにしても
心の支えになってやりたいんだ。
「ありがとう。
やっぱしょーちゃん大好きだなー・・・・。
ふふっ。でもね、
この程度じゃだめみたい。」
「この程度って何だよ。」
「これから食べるタンタンメンみたいにさ、
麺とスープが
しっかり絡まり合わないとだめってこと。」
「はあっ？
意味わかんねえよ。」
「わかんない？
ラー油までばっちり絡んで
ごほごほむせるぐらじゃないとだめってことだよ。」
「わかるかよっ！」
「ひゃははっ。
まずはさ、タンタンメン食べよっか。」
「おまえなー。」
「駐車場に着いたよ。
はい、降りて降りて。」
「こらっ！
ちょっと待て！！」
こっちは車内でじっくり話そうと思ってるのに
とっとと降りやがって！
「おい雅紀っ！
待てよっ！」
・・・・・へっ？
「あれっ？
いない・・・？？」
なんで？？
降りたはずの雅紀がどこにもいない。
車が一台も止まってないガランとした駐車場。
隠れる場所なんてどこにもないのに・・・。
ああっ！
もしかして落とし穴？！
そうだよ、この展開！
昔番組で雅紀とタンタンメンを食いに行った時
俺が雅紀を落とし穴に落としたシチュエーションに
そっくりじゃねえか！
いや、
でも今回俺は落とし穴なんて準備してないぜ？
まさか雅紀が企画した落とし穴に自ら落ちた？！
雅紀ならありそうなことだけど。
舗装されてない駐車場の地面。
隅々まで見渡してるけど穴なんてどこにもない。
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作者名：わか
| 作成日時：2022年9月30日 9時
