diving deeper ページ2
「そうなんだ。じゃあ、俺は？
こんなところに浮かんでるなんて
あまりいい道には進めないのかな。」
「何をおっしゃいますか。
順番待ちをせずここに来ていることが既に特別扱い。
あなたには最もよい道が待っていますよ。」
「へっ？！うそっ！
え？なんで俺が？？」
「あなたは世のため人のために
頑張ってこられたじゃないですか。」
「そんな・・・。
俺はただ自分が頑張ったことに喜んでもらったり
何かを感じてくれたら嬉しいと思ってやってきただけで
世のため人のためなんて仰々しい考えで
臨んでたわけじゃないんだけどな。」
「その謙虚な姿勢こそがよい道を招くのです。
そしてその境地に辿り着き
沢山の人を救える者も一握り。
さあ、どうぞこちらへ。」
「えっ！わあーー・・・。」
空の上と思ってた何もない空間に
突然煌びやかな装飾が施された大きな扉が現れた。
重そうにぎぎーっと開いた扉の先には
天国への階段ってやつなのかな。
黄金色の螺旋階段が
遥か上へと続いている。
『階段の途中には裁判所のようなところがあって
そこをクリアしなければ最上階へは行けません。
本来最上階へ行く人は
一足飛びで行けるはずなんですが・・。
この階段が現れたということは
あなたには何か問題があるようです。』
関所の役人はそう言ってたが。
「ここ？」
天国への階段の踊り場的広場には
裁判所と言えるような建物なんてなくて。
ポツンと１人待ち構えていた高齢男性。
このじいさんが裁判官なんだろうか。
「櫻井翔さんですね？」
「あっ、はい。」
「あなたのように誰よりも徳を積んだお方は
本来ここを通ることはないのですが
残念ながらあなたは審査を通らなかった。」
前置きもなく
事務的に話し出したじいさんが言うには。
天界はハイテク世界。
自宅上空でまばゆい光に包まれた瞬間
俺は脳をスキャンされたらしい。
あの一瞬で俺の一生がわかったそうだ。
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作者名：わか
| 作成日時：2022年9月30日 9時
