diving deeper ページ3
「どれだけ徳を積んでも
あなたは嘘に染まった人生だった。」
「嘘？」
「本当に好きな人は同性で
それを隠して結婚したのではないですか？」
「ｳｯ・・・。」
墓場まで持って行くと決めた想い。
貫き通して持ってきたのに
なぜ掘り返す。
「仮にそうだとしてもだ。
どこが悪いって言うんだ。
本当に好きな人とは結ばれない、
そんな人間いくらでもいるだろ。
俺は妻を愛してきた。
子供も孫も生まれて
思い描いた通りの幸せな人生を送ったんだ。」
隠したからこそ掴んだ幸せ。
傍から見ても誰もが羨む人生だったはずだ。
「悪いとは言ってません。
ただあなたは最上階へ行く人間だから問題なのです。」
「は？」
「結婚して子を持つことが
社会的に認められるなんて古臭い考えで
結婚したあなたは本当に幸せだったのでしょうか。」
悪かったな、古臭くて。
俺は昭和の人間なんでね。
親も世間もそういった風潮だったんだ。
「ああ。もちろん幸せだったとも。」
「では胸に手を当てて目を閉じてみてください。
あなたは誰の笑顔が真っ先に思い浮かびますか？」
笑顔なんて言うからだ。
雅紀が出て来ちまうのは。
「やはり彼なんですね。」
ああそうだとも。
幸せな風景とか言ってくれたら
家族が思い浮かんだのに。
こんなの誘導尋問だろ。
「あなたが彼を思って自慰に至ったことが
結婚後も続いていたことは
ここでは隠せないのですよ。」
「！！」
「あなたの嘘が清算されたら
最上階へ導かれることになるでしょう。
ただし同じ過ちを繰り返し
再び自慰に及ぶようなことがあれば
最上階へは行けません。
それは天界としてもとても残念なことなのですよ。」
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作者名：わか
| 作成日時：2022年9月30日 9時
