diving deeper ページ1
「いい人生だったな。」
盛大な葬儀。
櫻屋敷なんて呼ばれてる我が家をぐるりと囲む塀には
多くの人からの献花が立てかけられている。
国民的アイドルバンドなんて呼ばれ
途中お休みもしたがステージ上終身雇用。
赤いちゃんちゃんこを着て演奏したこともあったっけ。
メンバー５人死ぬまで元気なジジイでｗｗ
俺が最後。
みんな幸せな人生だったと思う。
だって、みんなの時もそうだったけど
こんなジジイの別れを惜しんでくれるなんて・・・。
ありがとう。
わざわざ遠いところから花を手向けに訪れてくれた
そこの君、君、君たち・・・・・。
俺は。
生まれ変わったらまたAMNOSになるから。
無事になれた暁には
時間も距離も飛び越えて君たちを探すよ。
次の物語でも僕らはきっと出逢い
また同じ夢を見るんだ。
その時まで・・・
どうかお幸せに・・・・。
さようなら・・・・。
「わっ！風！！」
「わあっ！」
「きれい・・・。」
「翔くん・・・？」
「ぐすん・・・。」
強い風が吹いて
屋敷の桜が吹雪のように舞ってる。
宙に浮かぶ俺の体は
まるで音楽番組の演出みたいに
大量の花びらに包まれて。
どうやら迎えが来たようだ。
花びらと共にまばゆい光が
俺を包んでどこかへと導いていく。
死んだらどうなるんだろう。
ずっと思ってたけど。
眩しさから瞑っていた目を開けると
俺はまだ宙に浮いていて。
眼下には三途の川と言われる川なんだろうか。
河原にはドームコンサート開演前以上の
人、人、人の行列・・・。
「すごい人数ですよね。」
「わっ！」
「あ、驚かせてしまいましたか？
すみません。」
背後から突然声を掛けられ振り返ると
真っ白な服を着た40歳くらいの男性が
俺と同じように宙に浮かんでる。
「えっと・・。」
「今年は疫病が蔓延して
多くの人が亡くなったので
ああして順番待ちをしているのですよ。」
「順番？なんの？
あっ！あなたはもしかして！」
「神じゃないです。
ただの関所の役人、みたいなものです。」
「関所？？」
「ええ。
あそこで順番待ちをしてる人たちも
時機ここを訪れます。
この先は分かれ道になっているので
一人一人に合った道をご案内するのが
私の仕事なんです。」
「まさか天国か地獄への案内・・・？」
「一番上と下はそんな感じですが
道は何万通りもあって
どれだけ徳を積んで生きてきたか。
それによって道は決まるんです。」
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作者名：わか
| 作成日時：2022年9月30日 9時
