私は泉鏡花【文豪ストレイドッグス】

紅葉様と私３ ページ4

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『おはようございます、紅葉様。

お目覚めはいかがでしょうか？』



一言一句違わず言えるようになった言葉と貼り付けた笑み。

お道化は少し得意になりました、紅葉様。



「おはようA。

今日は大事な会があってのう…今日は一段とお主も私もおめかしせねばならぬ。」


寝起きでも楽しそうに話す紅葉様。

今日は機嫌がすこぶる良いみたいだ。



用意された朝食に手をつけ、今日の予定の話をしながらご飯を食べて身支度を始めた。


私の着物はいつも紅葉様が決められたものしか着てない。紅葉様は私を着飾らせることが楽しみの一つ。と言っていたからだ。


「今日は、この着物にしようかのう…ほれ…綺麗じゃろうA？」


『はい、とっても。』


暗い色が好きな私に合わせてくれる紅葉様は、今日も紺色を基調とした着物を選び私に着付けた。


少し長い髪を複雑に結い上げられ簪で止められる。



「この簪は、鏡花に上げるつもりだったのじゃが…間に合わなかった。」





悲しそうに言う紅葉様のお姿が化粧台の鏡を通して分かった。

私じゃ紅葉様は駄目なのだろうか？


そう思ってしまう。



最後に紅を塗られ、紅葉様は満足そうにして自分の身支度を始めた。


私はそれを手伝い、最後に羽織るものを紅葉様に掛けた。



「さぁ、行くぞ私のA。」





『＿＿＿＿＿はい。』





矢張り、背後から泉鏡花の影が私を蝕むの。


それが怖くて怖くて堪らなかった。




もっと、名前を呼んで紅葉様。



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