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19話 【過去編】 ページ20





物心ついた時から、私はいろんな人に囲まれていた。



その中で、一際ほかの人とちがう雰囲気を出していた人に私は近づいた。





『貴方はだぁれ?』




その人の白衣を少し引っ張ると


私に目を向け




「私は君のお父さんだ。」




と、微笑んでいた。優しく私の手を戻した。


細くて大きくて冷たい手だったけど、初めて触れた手で嬉しいかった。



でも私はほかの人達に連れていかれ、たくさんの言葉を教えこまされ


私に宿る特別な力、異能力を使いこなせる訓練を受けた。





「凄い。」「さすが」 「偉い」




どんなに褒められても、嬉しくはなかった。


だってみんな怖がってるんだもん。




影が自分を引きずり込むから




それが、気持ち悪いと言うものいなかった。



だってお父様が





「とても素敵な異能力だ。」





と言ったから。





嬉しかった。



だって、たった1人の家族から褒められるんだよ?





何かを頑張る度、褒めてくれた



だから、頑張った。





お父様からくれた任務をこなして



人を影の中にたくさん、たくさん沈みこませた。




でも、いつからかお父様の隣には可愛らしい女の子がいた。



エリスちゃん。



お父様は私に見せない笑顔でエリスちゃんに接していた。





『…お父様、任務の報告書です。』



「嗚呼、お疲れ様。」





いつからか、よく頑張ったね。と言う言葉は消えた。






でも、また言ってくれることを信じて



頑張った。






ある任務の終わった帰り道


切り傷が痛む中、足を引きずりながら帰っていたら躓いた拍子に転んで立ち上がれなくなった。




「あら、大丈夫?


まぁ、ひどい怪我…!?

手当してあげるから手を回して。」



通りすがりの女性が私の切り傷を見るなり驚き私の背中に手を回した。


異能力でも使おうかと思ったけど使う気に離れず黙ってその人について行った。





小さな喫茶店の裏口みたいなところから入り中にはもう1人男の人がいた。




「ねぇ、あなた…この子怪我してるみたいなの…。


救急箱取ってきてくれない?」



「わかった。ひどい怪我だね…中に入って座らせてあげよう。」




夫婦なのだろうか、


二人して私を心配してくれて…細かい気遣い、配慮優しくて初めてで驚いた。



「ねぇ、貴方お名前は?」




『…A。』





「そう、Aちゃんね。

私はユミ。さっきの人は夫よ。」




この出会いが悲劇の始まりだった_____。

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にろりん - 遅くなり申し訳ございません。改めて完結おめでとうございます!毎回楽しみに読ましてもらいました。新作も見ます!絶対!! (2017年5月4日 20時) (レス) id: 3b726ac26d (このIDを非表示/違反報告)
松木小春(プロフ) - 完結おめでとうございます!森さん落ち楽しみです! (2017年5月2日 23時) (レス) id: e4578cb5fe (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 完結おめでとうございます!新作楽しみにさせてもらってます!! (2017年5月2日 22時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
初恋抹茶(プロフ) - 沙羅さん» ありがとうございます!新作の方は森さん落ちにしようと思うのでよろしくお願いします! (2017年5月2日 20時) (レス) id: 8f432b42ce (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - お疲れ様です!!そして完結おめでとうございます!最後は納得の終わり方でした……泣きました(^^; 新作、お待ちしております(o^^o) (2017年5月2日 20時) (レス) id: b15e900c6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:初恋抹茶 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年4月9日 15時

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