No.34 ページ34
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「違いますの！轟さん。ただ目にゴミが入っただけですわ。
あと感宮さんとは同じ中学出身で知り合いだったんです。それで久々の再会だったから話そうと思って…」
「なんだ、そうだったのか。てっきり喧嘩でもしたのかと」
『…なんで』
何故、誤魔化した？まさか今ので昔のことはなしにしようと企んでいるのではないだろうか。私は変わりましたアピールなら全くもって不必要、不愉快だ。
『轟くん、ごめん。私もう帰る』
「は？まだ午後の授業あるんだぞ」
『別に、どうでもいい』
そう言ってドアノブに手を回せば、八百万は大声で私を引き止める。そして言ったのだ。
「私と！もう一度友達になりませんか！？」
『…一生、無理』
まだ気づかないのだろうか。私たちの関係はもう、修復不可能な状態であることを。そして帰宅中ふと思い出す。
『あー、そっか。知らないもんね、あの時私が八百万さんの本心聞いてたこと』
それならあんな軽いことを言えたのにも納得がいく。だけど…心の奥深くで、ほんの少しだけ初めて八百万と出会った時の私が顔を出していた。
もう一度、信じてもいいのではないか、と。
また、あんな楽しい日々を送れるのではないか、と。
これもそれも、きっと轟くんと出会ってしまったせいだろう。私は彼のせいで随分と変わってしまったようだ。
『ほんと、ヒーローってなんて厄介な存在なんだろ』
深く吐いたため息は、人混みの中に消えていった。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
