No.33 ページ33
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その日は綺麗な夕日だった。目の前には泣きじゃくる八百万がいて、私はそれを慰めていた。
「なんでっ…Aちゃんが酷いことを言われないといけないの？何もしていないでしょう？
個性だって、ありもしないようなことばかり…！」
それは違う。皆の言っていることは本当なのだ。その証拠に、私は八百万の頭を撫でてあげることすら出来ないのだから。
「泣かないで」と声だけ掛けるものの、まだ泣き続ける八百万に嬉しい気持ちとどうしたらいいのだろうと困惑していると、二人きりのはずだった教室に女の子数人が入ってきた。
…そして私に言ったのだ、百ちゃんをいじめるな、と。当然、私も八百万も目をパチクリさせたが彼女たちは私の噂のせいで話を聞こうとしない。
『ちょ、まっ…！』
「……ひぃっ、触らないで！！」
「あーちゃん！？どうしたの！？」
「今、今…！コイツに私の嫌な過去見られた！」
「嘘、噂ってほんとだったんだ！」
「ば、バケモノ！近づかないで！」
そう言って私と八百万は引き離され、それ以降は噂だけで止まることはなく、嫌がらせを受けるようになった。
それと同時に空気のような扱い。会話なんて聞こえないはずなのに、みんなの心の声が私の悪口ばかり。
「あの、皆さん…！」
八百万も何度か私を助けようとしてくれた。だけど相手にはされていない。ただ一回、嫌がらせの標的が八百万に向こうとした時、私は彼女の言葉と本心を聞いてしまったのだ。
「そ、そんなわけないじゃないですか！私も皆さんと同じく感宮さんのこと怖いなって思っていて…」
(ヒーローを目指してるなら、ここで負けてはいけないのよ百！……でも、一人になるのは、怖い。皆に嫌われたくない。)
その時、私は二度目の絶望を味わった。
もう……他人なんて、信じない。
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作者名：空涼
| 作成日時：2019年5月10日 19時
