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犯人の気分。 ページ20

翌朝、何だか皆の顔が見たくなくてなかなか部屋を出られなかった。

もらいもののワンサイズ大きいトレーナーを着て、11時頃、やっとリビングに入った。

「あ、おはよう。今日はお寝坊さんやな?」
「ジェル、朝からジェルボイスすんなきもいから。」

「Aちゃん、朝ご飯は?」
「あ、食べる。」

いつもみたいに明るい声がうまく出せない。
自分がうまく笑えているか不安になる。

「可愛い組3人は今日お出かけだって〜」

「なんで俺は連れってってくれへんのやろ?」
ジェルくんがかわい子ぶって首を傾げる。
「ジェルくん、かわいくないじゃん」
キッチンから出てきたなーくんが平然と告げる。
「ぐはぁ」と大袈裟に傷つくジェルくんを見てクスリと笑ってしまう。

なーくんが運んでくれたトーストをほおばりながら、皆の会話に混ざる。
出来るだけ、普通に。

食後のコーヒーをゆったりと飲んでいた時。
「にゃあ」
さとみくんの愛猫、ひなちゃんがやってきた。

「ひなぁ〜?抱っこしてほしいの?

ん?まってなんか濡れてね?」
そう言ってひなちゃんの足をティッシュでふき取るさとみくん。

そのティッシュについたのは赤い何か。

「わ、血じゃん。お前怪我したのかぁ〜?」

間違いない。昨晩私が流したものだった。

床に拭き残しがあったのかもしれない。

皆、心配そうにひなちゃんを見る。

「怪我はなさそうやね。」
「え、じゃあこの血どこでつけたん?」

うーん、とみんなが唸る。

「わっ、私洗い物しちゃうね!」

この場から離れなくちゃ。
焦った私は、ガタリと立ち上がりキッチンへ向かった。


スポンジを手に取って、洗い始める。

「Aちゃん、腕まくりせんと袖濡れんで?その服タダでさえダボダボやし〜」

気づかないうちに近づいてきたジェルくんが、私の洋服の袖をスルスルとまくる。

まずい、と思った時には遅くて。


「えっ、なに、これ?」

ジェルくんの目には、私が昨夜つくった、傷が映っていた。

ひなちゃんと戯れていた2人も、声を聞いてこちらへと向かってくる。

頭が真っ白で、いい言い訳がひとつも浮かばない。

いっその事逃げ出したいけれど、ジェルくんの手が私の腕をしっかりと掴んで許してくれない。
傷のある手首ではなく二の腕を掴んでくれるあたり、優しいなぁと思う。


流石、大人な3人だ。
傷を見ても騒ぐことなく静かに私をリビングまで連れ戻した。

私は罪悪感でいっぱいで、顔を上げられない。
事件の犯人にでもなったようだ。

優しい言葉。→←夢 ※流血表現あります



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(・ω・三・ω・)フンフン(プロフ) - あれ?終わっちゃった? (2020年2月29日 19時) (レス) id: 1eed865d70 (このIDを非表示/違反報告)
- これって完結しちゃったんですか? (2019年4月17日 18時) (レス) id: 68d4b88e6d (このIDを非表示/違反報告)
ちゃにぽん(プロフ) - あろんさん» 了解です!リクエストありがとうございます! (2019年3月12日 20時) (レス) id: ea06f6d734 (このIDを非表示/違反報告)
あろん - 面白いです!リク良いですか?ころんくんが、主にお酒飲ませて、2人でイチャイチャしてほしいです!! (2019年2月25日 11時) (レス) id: a27ddc237a (このIDを非表示/違反報告)
ちゃにぽん(プロフ) - いちさん» リクエストありがとうございます!書かせていただきます! (2019年1月29日 20時) (レス) id: ea06f6d734 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃにぽん | 作成日時:2018年10月30日 16時

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