＊気付けば恋だった。＊ ページ30
「だから俺はAが嫌い」
嫌い、という言葉が胸の奥に突き刺さる。
もう、ほとんど泣きそうだった。
(私、馬鹿だ…。始めから素直になってれば…)
ようやく自分の気持ちに気付いたのにこんな結果で終わってしまうなんて。
「ふっ、」
いきなり、目の前で泉が吹き出した。
(笑い事じゃないんですけどぉ…)
いつもならキレるが、本気で落ち込んでいるので何も出来ない。
「嘘だよ」
「…へ？」
「はぁ。Aがしょーもない嘘つくから仕返し」
笑顔になったかと思ったら再び真顔になった。
「は…？嘘？」
「あんただって嘘ついたじゃん」
いや、そうだけど。
「何、泣いてんの？」
「！」
安心したら自然と涙が出てきたのだ。
「…なんか俺が悪いみたいじゃん」
すると、急に泉がAの頭を撫でた。ビックリして何の反応も出来なかった。
「ごめんねぇ？でも、俺だってショックだったんだよ？だからもうそんな嘘つかないでねぇ」
早口で言い終えるとAから手を離してスタスタと歩きだした。
(え…今…)
それってつまり…。
照れと嬉しさとが入り混じる。Aは小走りで泉と並んだ。
「もう、素直じゃないなぁ！」
「…チョ〜うざぁい…」
心なしか、泉の顔が赤い気がする。顔を反対に向けているので確かめようがないけれど。
(今なら…言える)
Aはそう思った。逆に、今じゃないと素直になれない。
「なぁ、瀬名」
「なんですかぁ…」
いっこうにこっちを向いてくれないが、もう無視した。
「好きだよ」
「…へ？」
思いの外、スラッと出た言葉に泉が間抜けな声をあげた。
「じゃあねー！」
とはいえ、やはりAも恥ずかしかったので走って教室を目指した。
「ちょ、ちょっと！？Aっ、もう一回！」
泉も後を追って走る。
「言うわけねーだろ、ばーか！」
仲直りどころか、こうやって自分の気持ちに気づけて。それを告げる事ができて。
その幸せを実感していた。
「A。今日のプロデュース…」
最後、教室に入る前に泉は言った。
「もちろん」
好きな人の為ならば。
＿＿END
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 46人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水猫桜(プロフ) - ほたるさん» コメントありがとうございます！瀬名さんのツンデレ具合を上手く表現出来るよう頑張ったので、可愛いと言っていただけてとても嬉しいです！初のあんスタ作品ですが、楽しんでいただけたなら幸いです(*^^*) (2017年8月25日 17時) (
レス) id: 1dfbcfc948 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - 瀬名さん！！！可愛すぎかよ！！！完結おめでとうございます！！！ (2017年8月25日 16時) (レス) id: 836cda0430 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水猫桜 | 作成日時：2016年9月19日 13時
