【美風藍】ボクのパートナー

夢現 ページ36

夢と現の境目あたり、夢現。


青、蒼、碧、藍…水中にいるみたい…？


一瞬、あの時の夢の人が見えたきがした。




薄暗い自分の部屋のベッドの上で目を覚ました…のかもしれない。


やけに心地よく聞こえるキーボードを打つような音。右手にぬくもり。


ベッドの右側に目をやると夢のあの人のような横顔。


まだ夢の中…水の中…青、蒼、碧、藍…綺麗な髪の色。


温かい右手に微かに力を入れると、キーボードを打つ音がぴたりと止まった。


マリンブルーの瞳がパソコンのディスプレイから離れて私を見つめる。




私の右手は、その人の左手に握られていた。


その人は、キーボードから離した右手を私の右手の添えた。


私の右手は、その人の両手に優しく包まれている。





「……A」



私の好きなその人…美風先輩が私の名前を呼んだ。



「美風…先輩…」



「……」



「……」



ぼーっとする意識の中、吸い込まれそうなマリンブルーの瞳を見つめ返した。


しばらく見つめ合っていると、先輩が口を開いた。




「…驚かずに、きいてほしい」



「……」



「ボクは…ロボットだよ。人間じゃない」



「……」



私の右手を包み込んでいる先輩の手が、さらに強く、優しく、私の手を握った。





「それでも、ロボットでも、人間じゃなくても…そんなボクでも、いいのなら」



マリンブルーの瞳は、私をじっと見つめて、覚悟を決めたような意思を秘めていた。


薄暗い、静かな部屋に、私の心を優しく包み込む言葉。









.









「…大好きだよ、A」

あの時よりー藍side−→←無機質なディスプレイー藍side−

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す