【美風藍】ボクのパートナー

言葉では表せない ページ29

美風先輩が窓を開けると、雨が入ってきた。




先輩の透明感のあるマリンブルーの髪に、白い頬に雫が付いた。



その横顔は涙をこぼしているようにも見える。



どこまでも綺麗で儚くて、消えてしまいそう。



言葉では表せないくらいな……不思議な人。





美風先輩が、不意にこっちを向いた。



人間離れしているような雰囲気に、思わず顔を背けてしまった。


まともに美風先輩を見ることが出来ないし、きっと私の顔は赤くなっている。




まるで熱に浮かされているような感覚。









急に自分の身体が動かされ、気がついたときには美風先輩が目の前にいた。



一気に鼓動が速くなる。



反射的に「それ」から逃げようとしたけれど、美風先輩は離してくれなかった。






気がつけば、もう美風先輩への想いは、私の中から溢れ出してしまっていた。




A：……好きです。




私の口が閉じられると同時に、美風先輩の瞳が大きく開かれた。



鼓動がうるさいくらい響いている。


その音は、中々鳴り止まない。






美風先輩の口が開き、手が私の方に伸ばされかけた。



でも、口は何も言葉を発することなく、再び閉じられた。



伸ばされかけた手も、私に触れることなく、ぎゅっと握られた。






美風先輩は一息ついてから、ようやく言葉を発した。









藍：ボク―――……

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