・ ページ17
阿部くんから貸してもらった服は当然だけど阿部くんの匂いがして、阿部くんに包まれてる感覚がして体の体温が一気に上がる
リビングまで行くと阿部くんと、弟さんが仲良く話してる声がした
「あ……あり、がとうございました…………」
ドアを開けて、勇気を振り絞って声を出す
振り向く弟さんと阿部くん
当然の様にこっちに向かってくる阿部くんと、その後ろで顔を赤くしてる弟さん
「ドライヤー、しに行こうか?」
また、脱衣所まで逆戻り
繋がれた手が暖かい
心臓の音が早くなって、その音が聞こえてしまうんじゃないかと不安になるくらい大きく鳴る
「はい、ここ座って」
そう言われた場所は阿部くんの脚と脚の間
恥ずかしいけど、阿部くんに言われた通りすわる
しばらくするとドライヤーの音が聞こえてきて、自分の髪と髪の間に、阿部くんの指が通る
ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー
阿部side
「春ちゃ〜ん」
いくら肩を叩いても起きる気配がしない
春ちゃんを抱きかかえて寝室まで運ぶ
言い訳でドライヤーをしにお風呂場まで戻った
あんな、色気が出てる春ちゃんを竣に見せたくなかった
言ったらただの嫉妬心
春ちゃんを俺の家に連れてきて竣がこっちを向いた瞬間分かった
竣の瞳が獲物を狙う狼のような、鋭い目付きに変わっていたことに
「おやすみ」
そう言って頭を撫でる
幸せそうに少しだけ春ちゃんの口角が上がったような気がした
サラサラな髪に、白くて綺麗な肌
細くて長い脚、ピンク色をした形のいい唇
春ちゃんの全てが愛おしい
竣だけには奪われたくない、''14年間''ずっと恋をし続けたのだから
竣はリビングのソファの上でもう寝ていた
子供っぽい顔立ち
もう中学を卒業するというのに、
甘えん坊なところだったり、
人見知りなところだったり、
無邪気なところは一切変わってない
中学卒業、と言えば俺と春ちゃんが最初で最後のツーショットを撮った日
同じ学校だった北斗に言われて頑張って誘った
いや、北斗は元々俺の恋心を知っていた
そして、春ちゃんの恋心も
「はぁ……」
溜め息をつきながら、近くにひいてあった布団の上へと竣を移動させる
電気を消して寝室へと戻る
ベッドの下にある布団に入って目を瞑る
何かが頬っぺにあたる感覚で目が覚めた
「好き………って言えたら、いいのに」
46人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:wwssseee | 作成日時:2019年6月3日 22時