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心地よい波音が場を和ませる
中原さんは私が出る前に姐さんに貰った茶菓子を時折食べ乍ら私と話をする
仕事の愚痴や太宰さんの事、これからの仕事や任務について
今日は何を話すにも楽しそうだ

中原「はぁ…なんか今日お前とドライブ来てよかったわ」

「奇遇ですね、私もそう思ってました」

中原「はは…それにしても、なぁ」

「どうかしたんですか?」

カップを揺らし乍ら中の氷を見つめる
私に云うのを躊躇っているのか、気を使っているのか
が、顔を上げて海を見つめ乍ら口を開いた

中原「俺さ、ボスとお前の話聞いてたんだ、今日の午後の庭で」

「__…」

私は思考が停止し、一瞬言葉が出なくなる
嗚呼、今日は厄日だ。ボスにバレるわ、情緒不安定に陥るわ、中原さんに記憶喪失じゃないことがばれるわ
中原さんは申し訳無さそうに顔を下げ、再び氷を見ていた

中原「ごめんな、聞く気があったわけじゃねぇンだ。だが…何で言ってくれなかった?」

「…分かっていても聞くなんて酷いですね。話を聞いていたなら知ってるでしょう?」

そう聞き返すと悲しそうな顔で私に顔を見せた
今度は私が見ていられず顔を下げる

中原「別に怒ってるわけじゃねえよ。俺はそれでお前を嫌うこともねぇし、できればこれからも、何だ…普通に、いつも通りのお前でいてくれ」

今迄中原さんの優しさに甘えていて、現状だってそうだった

「…私、今迄生きてきて学んだことが”全てが敵”という事でした。みんながみんなQちゃんを気味悪がって、私がそれを庇ってきました。…私自身も好かれる人間じゃないんですよ。その中拾ってくれたのは太宰さん…ポートマフィアでした」

こんな私を拾ってくれた、人間らしさを教えてくれた
でも

「マフィアに入って間もない頃、ボスの話し声が耳に入ったんです。”私を殺す”って。だから怖くなって逃げだしました。生憎事故にあってしまいましたけど…でも使えると思いました。記憶喪失として欺けば私も死ななくて済むし、あの子を守れると思ったから」

海に目を向け、真っ直ぐ水面を見据えていう
中原さんは私の顔を見ているのが分かった

中原「今じゃもう守れないと思ってるのか…?」

「いえ、あの子は私が守り抜きます。マフィアがあの子を殺す気なら、私はもう貴方たちの敵です…ですが、ボスはそんなことはしないと約束しました。あの人は裏が読めないから恐ろしいものですね」

そう言って笑う
中原さんは眉を動かし、すでに空になっていたカップを置いた

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*憂鬱*(プロフ) - 天さんさん» コメント有難う御座います!面白いなんて言って頂けて光栄です( *´艸`)更新頑張ります!! (2016年12月24日 15時) (レス) id: fbd96ddd79 (このIDを非表示/違反報告)
天さん - 最初から全部読みました!!すっごく面白いです!更新頑張ってください!! (2016年12月24日 4時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
*憂鬱*(プロフ) - 白兎@執筆準備期間中さん» コメント有難う御座います!そう言って頂けて幸いです(*´ω`*)更新頑張らせて頂きます!ご贔屓宜しくお願い致しますm(__)m (2016年12月10日 13時) (レス) id: fbd96ddd79 (このIDを非表示/違反報告)
白兎@執筆準備期間中 - 一話から読ませていただきました(*^-^*) とても面白くて夢主ちゃんが可愛くて大好きです! 応援しています、これからも更新頑張って下さい! (2016年12月10日 1時) (レス) id: b4bc07280a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*憂鬱* x他3人 | 作成日時:2016年12月9日 23時

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