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太宰「さて、本題だ」

真剣な表情で私を見る
それはまさに仕事のそれで私も気を引き締める

太宰「姐さんと取引をしたんだ」

「姐さんはなんて?」

太宰「了承してくれたよ」

「なら私もそれでいいです」

太宰「随分と早く決めるんだね」

「面倒くさいし、姐さんが認めたらな私に否定権はありません」

冷めた表情でそう言う
太宰さんは「そうかい」と言って拘束を解いた

それと同時に私は素早く太宰さんをベッドに押し倒した

太宰さんは私が動くことを予想していなかったのか驚いた様子で私を見る
そんな私は太宰さんの上に跨って首を掴む

太宰「…成長したね、素早い」

「褒める余裕があるんですね」

太宰「君は私に触れている時点で異能は使えない、私を殺す術はない」

「そうですか…何時までもそうお思いで?」

私は笑って見せる
すぐ手に届く距離にあるナイフを手に取った
多分与謝野さんのだろう
太宰さんの顔にそれを向ける

太宰「フフ、手が震えてるよ?」

「黙れ」

太宰「口が悪いねぇ」

そういうや否や、ナイフを持っていた腕を引かれ立場が変わる
私の上に太宰さんが乗り、ナイフを持っている腕を伸ばし切った状態で固定
もう片方で首を掴まれる

「っ…」

太宰「君は愚かだ、愚かすぎる」

「貴方に危険を促して忠告したまでです」

太宰「君が私に?偉くなったね」

スッと自然の流れで私の顔に自らの顔を寄せる
その顔は寸前で止まり、顔の横で声を発する

太宰「私が憎いかい?」

そう言って固定していた私の腕から手を離す
私はすぐに太宰さんの首にそれを当てた

太宰「いいんだ、君に殺されるならそれでいい。君にはどう見えてたか分からないけど凄く後悔した、軽薄だった私を許せとは言わない。君が私を殺せて満足ならそれでいい」

そう言って優しく抱きしめられる
私は未だに震えが止まらずにカタカタとナイフを無様に握っていた

太宰「如何して泣くんだい?」

「っ…で、も…それでも…」

泣き声交じりで言葉にならない
憎いし、殺したい
でも

「それでも、助けてくれたのは貴方でした…」

貧民街で餓死寸前、それでも忌み嫌われ暴力を受け
優しさも温もりも、ましてや感情もなかった私が
今こうしてマフィアで我儘を言えるのも、食べていられるのも、温かい気持ちでいられるのも

「それでも、貴方は恩人なんです…」

太宰「…」

太宰さんは覆い被さっている状態から起き上がり退く
私は上半身を上げて目の前のベッドの上に座る太宰さんに目を向けた

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*憂鬱*(プロフ) - 天さんさん» コメント有難う御座います!面白いなんて言って頂けて光栄です( *´艸`)更新頑張ります!! (2016年12月24日 15時) (レス) id: fbd96ddd79 (このIDを非表示/違反報告)
天さん - 最初から全部読みました!!すっごく面白いです!更新頑張ってください!! (2016年12月24日 4時) (レス) id: 6b9cd4fe2d (このIDを非表示/違反報告)
*憂鬱*(プロフ) - 白兎@執筆準備期間中さん» コメント有難う御座います!そう言って頂けて幸いです(*´ω`*)更新頑張らせて頂きます!ご贔屓宜しくお願い致しますm(__)m (2016年12月10日 13時) (レス) id: fbd96ddd79 (このIDを非表示/違反報告)
白兎@執筆準備期間中 - 一話から読ませていただきました(*^-^*) とても面白くて夢主ちゃんが可愛くて大好きです! 応援しています、これからも更新頑張って下さい! (2016年12月10日 1時) (レス) id: b4bc07280a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*憂鬱* x他3人 | 作成日時:2016年12月9日 23時

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