検索窓
今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:8,710 hit

第305話 ページ31

『…ここに来る前の記憶、何でもええけど持っとらんの?』


監督生「…!」


『ここに来る前何があったん?

事故に遭うたとか、誰かに引き摺り落とされたとか、そない暗い記憶はあらん?』


監督生「…ない、です

普通に眠って起きたらここにいて…」


『…』


先輩は考えるように言葉を止めてしまって、それに居た堪れなくて私から会話を紡いでいく


監督生「…先輩は明確に記憶があるんですか?」


『…あるで

時代の流れに則った立派な武器で殺傷起こされてウチは沈んだんや

せやからそない記憶のないユウちゃんは多分生きとるんよ』


監督生「…!」


『生きてる言う事を自分で諦めたらあかんよ

そないしたらホンマに死ぬだけや』


監督生「…そんな事言ったら先輩は…」


『ウチはええんよ、一度死んどるからそない事は気にせんでも』


監督生「…ッ…!!」


『…でもまぁ暗い気分にさせてしもたんは悪かったわな

過去から来てる言う事は平和な世界で生きとったんと違うん?どない世界で今まで生きてたんや』


何か少し陰鬱な雰囲気を払拭したくて、私は自分が今まで生きた世界の事を自然に伝える


監督生「私のいた日本は、2019年の春になって間もない時です」


『…』


監督生「私は高校生になって、普通に新しい生活を送る気でいました

それより前に、この世界へ突然迷い込んで…」


『…』


監督生「お父さんもお母さんもきっと心配してくれてるって思うんです

でも、それよりも心配をかけたくないのが…」


『…?誰か家族以外に大事なもんがおるんの?』


監督生「はいっ!

神崎くんって言う、中学校の頃からの知り合いで…ッ…

…卒業式の時に告白を受け入れてもらえて、今はお付き合いしているんです」


『…』


監督生「会いたいんです、だから私は帰らないといけないんです」


そんな勝手な私情を今まで話せる相手がいなくて、自分が今言った事を静かにただ聞いてもらえた事に少し心から重荷が抜けたような感じがしていた

第306話→←第304話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

咲樹(プロフ) - まさかの監督生と出身同じで軽く運命感じてます!これからも投稿頑張ってください! (2021年12月2日 12時) (レス) @page29 id: b53a17c756 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユウ | 作成日時:2021年8月30日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。