キミとお前と、俺の見ている世界2 (ページ18)

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第63話ページ18

フロイドside

フロイド「…ねぇ、茎ワカメの人生ってどう思う？」

ジェイド「…普通の人間らしいと言えばそれまでと言えますが、彼女には独特の感性が芽生えているという事を否定できないと言える人生ですね」

アズール「彼女は「出来上がった」人間の姿をしているのですね

それも、遠い昔から」

茎ワカメの心象と、それと人生を俺らで少し覗き見して思う事

茎ワカメは「何も分かっていないのに何故かそれを自分の人生として正しいと認識している」、それと「人としてよく出来た人間じゃなきゃ無理のある人生送ってるんだろうな」っていう結構えげつない人生送ってる

茎ワカメがぶっ壊れてるって感想は今に始まった事じゃねーけど、本当にぶっ壊れてるとは俺らも普通に思わねーじゃん？

五感も感性も、人として重要な色々は本当に今の茎ワカメには残っていない

フロイド「…普通にストレスで五感鈍ってるのに、茎ワカメ殆どそれを脳で補完して生きてるんだよね

すげー人より頭使ってるって思う」

ジェイド「気も遣って生きていると言えるのでしょう

彼女は多少優し過ぎます」

アズール「…女性の器官がなくなってもなお前を向いて立てるのは正直驚きを通り越して畏れを抱いてしまいますね

彼女は深刻に受け止めなかったのでしょうか」

茎ワカメはね、全然ポジティブなんかとはちげーんだよ

心が壊れて、苦しくて痛くて、でも「辛い」って言えないから抱えて我慢をし続けるタイプなんだよね

多分本当は誰かに気持ちをぶつけたいんだと思う

でも茎ワカメは誰かに自分の気持ちを伝えれば、その後に人から忌み嫌われる事を知ってるから、自分で隠しちゃうんだよね

笑顔で何もかもなかった風に装って、茎ワカメの限界になるまで濁っていく自分の心すら道具のように自分で繕って、そして修復不能になった茎ワカメは今心が「ゼロ」で

中身がないっていうのはあながち間違いじゃなくて、奪われて搾取され続けた人間の成れの果てに今茎ワカメはいる

フロイド「…なら、茎ワカメを取り戻せるのは誰？」

アズール「…意外な人間が彼女を戻すと言えるのかもしれませんね

彼女の兄でもない、だからといって彼女の近くにいたあの朝の男性でもない…」

ジェイド「…誰でも構いませんが、彼女が心から笑える日が戻って来ると良いですね」

俺らはそんな話をして、海茎ワカメの人生の軌跡に目を向けるのを一旦やめにして海で寝床探しをしに出かける事にしていた