▼secret・・・20 ページ22
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【赤塚駅では水位20cmの洪水が…】
「…………………はい、どーぞ」
「…………………ん、ありがと」
温かいココアを差し出せば
俯きがちに聞こえてくる落ち着いた声。
何だか一段落したみたいで
小さくため息をつきながら
一松の隣にすとん、と座る。
「雨なかなか止まないね…」
「…まぁこんなに洪水するくらい大雨だったら
明日にも止むか分からないしね」
「ううう、仕事あるのになぁ…」
それに洗濯物も干せないし、
なんて付け足して温まったマグをぎゅっと握る。
部屋の中は
私の要望で電気を消しているので真っ暗だ。
ストーブに照らされた一松のパーカーから
水が滴り落ちて畳にシミをつくった。
「……別にこっちは何にも用事なんて無いから
雨が降ろうと関係ないんだけどね」
「そっちは6つ子みんなニートでしょーが!」
せめて就職してみようと思おうよ…。
なんてがっくりうなだれつつ
今まで良く見えていなかった
一松の方に顔を向けようとした瞬間。
_____________ゴロゴロゴロ………
「ひ、っ…………?!」
嫌な音が聞こえたと同時に照らされる室内。
びく、と震えてつい手の中に収まっていた
ココアを少しこぼしてしまう。
「ひ、ひぇー、やっちゃった……」
大人になっても私は変わらないのかなぁ
なんて思いつつ急いでテーブルの上にあった
タオルを使って床を拭く。
「……………火傷しなかった?」
「う、ん………だいじょぶだよ、」
控え目に聞いてくる一松に答えつつ
夢中になって手を動かしていると
またもや遠くの方から音が聞こえて。
「つ、次はだいじょぶだから、」
一松に臆病だって
思われるんじゃないかと思って
「だから、心配しない、で!!」
大嫌いなはずだったのに
何故だか胸が張り裂けそうになって
「ごめんね私こんな、ビビリで」
余計な言葉が止まらなくて
「ほんと、迷惑かけてばっかで、」
なのに何で
「せっかく来てもらったの、……………に、」
「………俺がいるから、…安心して、いいよ」
あなたは私に優しくしてくれるの?
「っ、……………ごめん………」
手にしていたタオルをテーブルに置いて
私の手を握りしめてくれている
一松の手をぎゅ、っと握り返しながら
重たい頭を温かい肩にゆっくりとあずけた。
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杉松(プロフ) - 小説販売とかすげぇ...すっごく面白いです!更新頑張って下さい! (2016年3月23日 17時) (レス) id: 4fc5c3d306 (このIDを非表示/違反報告)
文香(プロフ) - 紗季さん» ん゛ん゛ん゛!!最高ぅぅ!!(((神!!神です!無理せず更新頑張ってくださいっ(*º∀º*) (2016年2月1日 21時) (レス) id: c8df34faab (このIDを非表示/違反報告)
あやね - とっても面白いです!頑張ってください! (2016年1月18日 2時) (レス) id: e5ccd2c3b3 (このIDを非表示/違反報告)
美礼 - 画像とても素敵です!!文才もあり画力もあるとは…羨ましいです!! (2015年12月31日 19時) (レス) id: a203490418 (このIDを非表示/違反報告)
紗季(プロフ) - 織菜さん» ご指摘ありがとうございます!頑張らせていただきますね!! (2015年12月31日 17時) (レス) id: 7b092c8da1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗季 | 作成日時:2015年11月17日 0時