XIX ページ19
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そこからは早かった。
務めていた甘味処を辞め暫くは貯金で暮らしていたのだが、流石にきつくなってきた。そろそろ仕事を探すかなぁ、と思いのんびりと就職活動をする。
「楽に転職するならさぁ、ここはどう?」
「冗談やめてよ」
つまんないのぉ、と口を緩める彼女は何だか幸せオーラが滲み出ている。彼氏と上手くいっているらしく、「惚気んな」とデコピンしても可愛い声で唸るだけだった。
「じゃあさ、どうしたいのぉ?ここで暮らすなら真選組と出くわすことを回避するなんて無理だよ」
「別に、あの男と出会わなそうな所ならいいんだけど…」
「うーん、やっぱぁ…ここ?」
「十分儲かってんでしょーが」
冗談言えるほど心の余裕がある彼女が羨ましい。
はぁ、と肺の濁った空気をこの空間に吐き出して誤魔化す。煙草を好まない私の肺をここまで真っ黒にしておいて、汚すだけ汚してあとは知らんぷりかよ。結局は汚れを汚れで落とすようにアルコールを体内に入れ込むのが最善策。そうやってまた誤魔化すのだ。
「いっそ実家に戻るかなぁ」
ここに居ると、怯えながら暮らしているようで苛立ってくる。穏便に暮らさせてくれ、と願えば願うほど厄介な目に遭うのだ。もう勘弁、というわけで田舎にある実家に戻るのが1番。そんなことをぐるぐると考えていると、
「えぇ!!だめ、だめだめぇ!私お友達いなくなっちゃうじゃん!」
駄々をこねるように涙目になって訴えかけてきた。こいつもこいつでめんどくさい女だなぁ、可愛いのが憎めない。
「なら就職先紹介してよ」
また溜息を零す。幸せが逃げるなんて言うけど、今の私は幸せなんて持ち合わせていない。ならいっか、そう思ってまた深い、深い溜息を吐いた。ぺし、と甘いデコピンが今度は私の額に飛んできた。
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湯木(プロフ) - ゆうひさん» 返信有難うございます( ;; )本当の事ですよ!この小説の設定が私の性癖に刺さりすぎて辛いです.......季節の変わり目で風邪の引きやすい季節になってきているのでゆうひさんのお身体に負担がかからないぐらいで更新頑張ってください!応援してます! (2019年5月24日 23時) (レス) id: 8f94a810be (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ(プロフ) - 湯木さん» 飛んできてくれてありがとうございます~!!私が銀魂夢を書き始めた頃からお世話になってる愛しのお友達ちゃんです笑エモさを感じてくれてめちゃくちゃ嬉しいです~!!!!ワー!!本当のことならば幸せです… (2019年5月24日 0時) (レス) id: cee43a9737 (このIDを非表示/違反報告)
湯木(プロフ) - 堕天使さんの所から飛んできました!堕天使さんの作品を読む前に題名が目に付いて後で読もうと思っていたのですがまさか堕天使さんのお友達だったとは!!ほんとにエモくて死にそうです.......。類は友を呼ぶって本当なんですね! (2019年5月24日 0時) (レス) id: 8f94a810be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうひ | 作成日時:2019年5月19日 23時