才媛のヴァイオリニスト[Alan_S] (ページ38)

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病気ページ38

ﾋﾟｯ＿ﾋﾟｯ＿ﾋﾟｯ＿

あの後、亜嵐は救急車で運ばれて今は眠っている。

救急車や酸素マスクをした亜嵐を見ていると、どうしてもお父さんを思い出してしまって胸が痛くて。

結局見てられなくて病室の前で悩むことしかできずにいた。

啓｢A。｣

『黒木...先生？』

啓｢亜嵐のお父さんが俺の先輩でな。
プライベートでも会うことが多いんだ。｣

『そうだったんですか...』

啓｢亜嵐にヴァイオリンをやめろと言ったのは俺だ。｣

『え？』

啓｢あいつは...肺の病気なんだ。
中学生の時に発症して、チューバの演奏は肺活量が必要だからもうできないと言われた。
でも、まだ軽度のものだったから管楽器じゃなければいいってヴァイオリンに変えて...｣

『...』

啓｢それから症状が悪化していることを聞いて、俺は亜嵐にヴァイオリンをやめさせようと...｣

『その病気は...治らないんですか？』

啓｢今...先輩が手術できるかどうか医者と話をしているそうだ。｣

亜嵐がそんなに苦しんでいたなんて知らなかった。

そういえば胸が痛いとかって早く帰るときだってあったし、チューバをやめた理由だって教えてくれなかった。
でも私は気づくことができなかった...

お父さんと同じように亜嵐の病気がもっとひどくなったらどうしよう、亜嵐を走らせた私が悪いんだ。

そうやって、考えれば考えるほど自分が嫌になった。

啓｢A、大丈夫だからな。｣

『え？』

啓｢あいつはそんなに弱いやつじゃない。｣

『...』

亜父｢あ、Aちゃんだよね？｣

『亜嵐の...お父さん...』

父｢ありがとう。君が一緒だったから助かったよ。｣

『...えと...』

母｢亜嵐に...会ってくれる？｣

『...はい！』

亜嵐のご両親は切なそうな笑顔で、私に微笑みかけた。

今は自分を責めたってどうにもならない。

私は私のできることをしよう＿＿＿