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「こんな昼間から何の用だ?ったくデート中だってのに野暮なヤツがいたもんだぜ」
「お前、誰だ?」
「人に名前聞くときは自分から名乗りましょうって習わなかったのか?」
「……あァ?」
「…耳遠いなお前、おじいちゃんですかコノヤロー」
「誰だって聞いてんだろ!!」
大きな声にびくり、と肩が揺れる。
銀時さんがいるから大丈夫だと言い聞かせても、首を絞められた恐怖は体に染み付いてしまっているらしい。
「おいおい。テメーと違って、んな大声出さなくてもこちとら聞こえてんだよ。反抗期かテメェは」
「俺のAから離れろ!」
「……え、なに?そういうのイタイって。やめとけ?黒歴史になんぞ」
「……、」
「ったく、ストーカーってのはどいつもこいつも困ったもんだぜ」
「……あんまり舐めてっと痛い目見るぞ」
チャキ、と男は刀を抜いた。
「へェ、そうかい。んじゃー痛い目見さしてくれや」
「……テメェ、」
「……そいつを抜いたってこたァ、斬られる覚悟は出来てんだな?」
「……はぁ?」
銀時さんは木刀。
対して男は真剣だ。
焦る私とは裏腹に、銀時さんは余裕そうに笑っていた。
「このっ!!!!」
「銀時さんっ、!」
「天誅!!」
ブン、と勢いよく振られた木刀は、男の首元へ向かう。
ひゅ、私が怖じ気づくと、その木刀は一瞬にして勢いを殺した。
トンッと軽く木刀の刃先が当たる。
しかし男は泡を吹いて倒れていた。
「……こんなもんで気絶するくらいなら、テメェに刀なんざ握る資格はねェよ」
そう呟くと男の刀を取り上げた。
そしてどこから出したのかロープで男を縛ると、近場にいた真選組に声をかける。
「怖かったよな、怪我とかしてねーか?」
直ぐにぽかんとした私の元に駆け寄ってきてしゃがむと、不安げに瞳を揺らした。
長年私を悩ませた男をあっけなく捕まえた銀時さんに、私は一気に力が抜けてしまって。
「ぅおっ!?」
「ありがとう、銀時さん……!」
思わず彼に抱きつくと、驚きながらも優しく抱き止めてくれた。
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日向(プロフ) - 由菜君さん» わああ嬉しいです…!!!キュンキュンして頂けて良かったです!ありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 381さん» そう言っていただけてとっても嬉しいです!!こちらこそ素敵なコメントありがとうございました…! (2021年2月12日 13時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
由菜君 - めちゃくちゃキュンキュンしました、、!すっごく良かったです! (2021年2月9日 21時) (レス) id: dc79ac4bfc (このIDを非表示/違反報告)
381 - 神楽ちゃんがおもしろくて、、、一気に読ませていただきました!とっても素敵な作品をありがとうございますッ! (2021年1月25日 21時) (レス) id: 664ca7d814 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - Kさん» まさにそういったものが描けたらと思って作った作品なので、そう言って頂けて本当に本当に嬉しいです…!ドキドキさせられて良かったです!こちらこそこの作品に出逢って頂いてありがとうございました…! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2020年11月1日 19時