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以前のような青みがかった白髪ではなく、光り輝く真っ白な髪になった弔さんの頭をふわりと撫でていると
「…ん」
「あっ」
ピクリと体が反応してゆっくりと瞼が開き、緋い瞳にぼんやりと光が宿った。
「弔さん…！よかった！」
嬉しさのあまり飛びついてしまいたくなったが怪我人相手なので堪えはしたものの、高まる感情が抑えきれない。
「身体の具合はいかがですか！？あっ覚えてます？いま入院してて弔さん2日も目覚めなくて…！」
「…あぁ、うん。覚えてるから落ち着け」
ぺち、とおでこを優しく叩かれてとりあえず前のめりな姿勢を正し、丸椅子に座り直す。
けれど落ち着いていられるものか。
私にとってはあの時戦場で離れ離れになった時以来の会話なのだから。
「…あいつらは？」
「みんな無事です！あっ呼んできますね！」
弔さん以外はみんな意識が戻っていてそれぞれ病室で静養していたはずだ。
特にトガちゃんなんかは何もなくて退屈だと口を尖らせていたのでみんなでお話しできたら喜ぶかもと、はやる気持ちのままに丸椅子から立ち上がろうとした。
が、弔さんの手に重ねていた手をぎゅっと握られてそれは叶わなかった。
「だから落ち着けって」
「え、えへへ…ごめんなさい」
「…今はまだ2人がいい」
「っ！」
なんだ寝起き早々にこの人は、甘えん坊の天才か。
いまの弔さんは怪我をしているせいかなんだかしおらしくて控えめで素直で、純粋無垢な子供のように思えてしまった。
「ふふっ弔さん髪真っ白になりましたね」
丸椅子に座り直し上機嫌で弔さんのふわふわした髪を指で梳く。
すると弔さんは自身の髪色の変化に今気づいたみたいで横髪を指先でいじって驚いたように目を見開いていた。
陽の光が差し込む真っ白な病室に、真っ白な弔さん。
その光景は眩しいながらもどこか儚くて、なんだか物語のワンシーンみたいに絵になるなと見惚れてしまった。
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作者名：さかさま | 作成日時：2022年4月20日 22時
