八曲目 ページ8
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佑亮「…で、事務所辞めちゃうの?」
海「…まぁそろそろしんどそうだったのは俺らも察してたけどさ
まさかバンドを組むなんてね」
深夜、
仕事終わりに寄ってくれた二人に全てを話した
佑亮「……寂しいよ」
『事務所が同じでも、
全然仕事で会うことなかったし何も変わらないよ笑
こうやって二人が忙しい間を縫って来てくれるのが嬉しい』
二人と手を繋ぐ
誰かが少しでも不安な時
私達はこうして体温を分けて乗り越えてきた
海「でもさ、あのバンドがまさか事務所に所属してないなんてな。
あれだけ才能があるのに」
佑亮「なんでだろう…」
『…』
当たり前だけれど何も知らない
確かに彼らの音楽は芸能界の目に止まってもなんら不思議ないと思う
佑亮「Aが入ったら注目されるだろうね!」
海「間違いないね、確実に彼らにもプラスになる。
良かったじゃん…恩返し出来るよA」
『う、ん』
私はこの時ただ漠然と
"引っ掛かる"と思っていた
佑亮「ライブするとき呼んでね?」
『うん』
この勘が嫌な形で当たるだなんて
今の私は信じたくないのだけれど
運命って
そう簡単には変わらないみたい
.
晃一「おはようさん!」
『………はよ』
祐基「あれれ?Aちゃん
昨日の今日でもう俺らのこと嫌いになっちゃったのー?」
『…いや』
朝は苦手だ
陽の光は温もりを要する
昔から暗いところが好きなのだ
『…ってか!こんな早くから練習しなくても』
朝6:30、
今日は二限からだから10:30
何故こんな早く…
拓弥「なんかわかんないけど俺らはずっとこれ」
祐基「晃一が言い出したんだよ〜」
晃一「せやで!朝のがな、こう…1日を楽しく過ごせるやろ?」
どや顔をこちらに向けられても…
『理解が出来ん!』
祐基「まぁまぁ!そう言わず…あ、晃一が発声練習始めるよ!」
なだめる様に祐基さんに肩を叩かれ
ふと顔を上げるとキーボードを調節する吉野
晃一「……〜♩」
『っ…!』
あぁ、これ…この歌声なの…
全身が震え上がるほど
心の奥底に訴えかけるようなこの歌声なの
あの日私達を変えた
私の心を奪った…歌声
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作者名:ぽん | 作成日時:2018年1月1日 0時