ちょっと変わった山姥切国広と、男に無防備な審神者ちゃん【２】 (ページ3)

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ざっざっ。となる砂利の音を聴いてかけてくる僕の存在に気づいた男女の二人組は胡散臭い笑顔を向けてきたのをみて、気どられぬ程度に僕は顔を顰める。二人の胡散臭い笑みはかつて僕に暴力をふるった主の愛想笑いと似ていて気味悪さを感じたからである。

胡散臭い笑みが釣竿と釣り糸となって思い出したくもないもの(前の主の記憶)が、眼前に垂らされた釣り糸の先にある釣り針につけられているエサ(胡散臭い笑み)に喰いついて釣り針にかかり大きくうねりながらその姿を表そうとしている。水面が揺れて僕の心がかき乱されるのを感じながら、僕はこれではダメだ、生唾を飲みこんで釣り糸を断ち“それ”を沈めて。顰めている顔に平常の人懐こい笑顔を貼り付けて、男女二人組に近づいた。

「なにかごようですか？」

「ああ。実は君たちの主のことで話があってね。なかに入れてもらえないかな」

主…、まさか、あのへし切り長谷部が側にいながら主様の身になにかあったのか。

そう考えた僕はなんの疑いも持たずに、さっき感じた気味悪さを忘れて二人を本丸に招き入れた。

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「……怪しい」

「ええ。主君の身になにかあったのなら、政府から連絡があるはずですが…」

物陰に二つの影、山姥切国広と前田藤四郎だ。二人は壁に背中を預けて今剣と男のやりとり聴いていたのだ。

二人は男女二人組が玄関にはいって行く姿をみながら、山姥切国広は舌打ちをし、前田藤四郎は縁側から広間に設置されている固定電話から政府に電話する為に慌ただしく靴を脱いで駆けていく。

さて、鳥居(ゲート)を政府と特別鎮圧部隊のと繋げておくか。

山姥切国広は鳥居(ゲート)を繋げるべく、自分と前田藤四郎それに今剣は鬼ごっこを抜ける、それだけ言って本丸内へと入った。

不穏な空気を悟った薬研藤四郎は、首をかしげている兄弟刀と愛染国俊に悟られぬようにと、「おやつの時間まで昼寝でもして待ってようぜ」と言って靴を軒下にいれて本丸の中間にある与えられた部屋へ四人を伴って向かったのだった。