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日が南へ傾く頃。
私は試衛館の弟子達を一旦休憩させ、木刀や竹刀の手入れをしようと縁側に座っていた。
皆余程真剣に練習しているのか、木刀には傷が多く付いていて、竹刀はささくれが出来ている。
それを見ていると何故か微笑ましく思えた。
「A先生、俺も手伝います。」
私が竹刀を手に取り、鑢を探していると一君が縁側に来てそう言った。
「休憩は?」と聞くと「大丈夫です。」と彼は答える。
一君はいつも相手の事を考えてくれる、優しい人だなと私は染々思った。
「じゃあそこに座って、これの手入れをして。私は木刀の手入れをするから。」
自分が持っていた竹刀と鑢を一君に渡し、私は他の木刀を取った。
竹刀は鑢でささくれを直し、木刀は薄く油を塗っておくだけ。
早速取りかかろうと油を少し手拭いに染み込ませると、隣に座った一君が小さな声で呟いた。
「……左利きって可笑しいでしょうか。」
「え?」
隣を見ると彼は俯いたままでいた。
試衛館に来る前、他の門下生に「利き手が違う!」と馬鹿にされたらしい。
確かに一君が左利きだと知った時は驚いた。
けれど、左利きはある意味有利だと私は思う。利き手が違うと相手は打ち込み難いし、彼と初めて試合をする時手子摺るだろう。
実際、私はそうだった。
「…左利きでも大切なのは武士の志だよ。利き手は関係ないし、可笑しくない。」
作業を進めながら私はそう言った。
本当は武家の産まれの子なら左利きは右利きに矯正させられる。
でも一君は左利きのまま。
世間から見たら変だ、武士らしくないとか思うかも知れないけど、私は武士の志があれば利き手なんか関係ないと思っている。
「………ありがとうございます。」
彼は安心したような声でそう言った。
こんな風に理解が早い所、前向きな所が一君の長所だと思う。
それから暫くの間、一君と二人で色々話しながら竹刀と木刀の手入れを済ませた。
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これって壬生浪士組が結成する前で良いんですよね……(;゜∇゜)?
斎藤さんが左利きなのはフィクション何ですよね。忠実では右利きらしいです。
乱紅葉でした。次黒豆ちゃんお願い致しますm(_ _)m
蒼空ちゃん更新できる時にお願いします。
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司庵 黒豆(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります! (2019年1月5日 10時) (レス) id: 19af506fde (このIDを非表示/違反報告)
にゃお(プロフ) - 他の小説とは違う感じなのに、引き込まれました!これからも更新するの頑張ってください。 (2019年1月5日 0時) (レス) id: 90cfe03e70 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き楽しみにしてます^ ^ (2018年11月26日 1時) (レス) id: 82432f8c84 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^一君の優しさに、ドキドキしてました!ヒロイン、強くて、かっこいいですね^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2018年9月19日 0時) (レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
薄桜鬼☆ハルハル(プロフ) - 黒豆さん» そうなんや。 (2018年8月13日 15時) (レス) id: 00eb0ae2ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:司庵黒豆・星野夜桜です。・蒼空・乱紅葉 x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kuromame/
作成日時:2018年6月6日 21時